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2022.08.15 10:30

新型コロナで入院する子どもの8%に神経性の合併症

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一般的に入院を要する子どもの新型コロナウイルス感染症の重症ケースは成人より少ないが、新しい研究によると新型コロナで入院した子どもでは、かなりの数が脳に影響をおよぼす合併症を経験していることが明らかになった。

米テネシー州ナッシュビルのバンダービルト大学モンロー・カレルジュニア子ども病院の小児科助教授でこの研究の筆頭著者のジェームズ・アントンは「神経性の合併症が比較的一般的で、新型コロナで入院した子どもの約8%に発生すると結論づけた」と述べた。

小児学誌「Pediatrics(ペディアトリクス)」に掲載された今回の研究では、2020年3月から2022年3月の間に52の小児病院に入院した子ども1万5137人について調べた。子どもたちの年齢は2カ月〜18歳だった。

報告された最も一般的な神経疾患は、発熱の有無を問わない発作と脳障害だった。その他、まれなケースとして脳膿瘍、細菌性髄膜炎、虚血性脳卒中などもあった。

「合併症はほぼ一様に悪い結果を招き、生命を脅かす状態になることがある」とアントンは指摘した。

また、年少の患者は年長の子どもよりも、感染による神経症状を経験する確率が低いこともわかった。デルタ型が優勢だった時期に感染した患者は、他の型に感染した患者よりも神経性の問題を経験する確率がわずかに低いことも確認された。

「今回の研究で明らかになったように、新型コロナによる合併症は子どもたちの生活に大きな影響を与える可能性がある」とアントンは話す。「感染力の強い新たな変異種の出現により、危険にさらされる潜在的な患者数は増加している」とも語った。

成人の新型コロナ患者でも神経性の症状が報告されている。さらにコロナ後遺症を抱える人の中には、著しい「ブレインフォグ(脳の霧)」、疲労、その他の神経症状を訴える人もいる。研究者は、多くの人が最初は軽い新型コロナ症状しか経験していないにもかかわらず、なぜ一部の人にこのようなことが起こるのか解明を進めてきた。

6月中旬以降、米国内のすべての子どもたちが新型コロナのワクチン接種の対象となっており、重度の神経性の合併症を防ぐ効果がどの程度あるのかというデータはまだ得られていないが、アントンは子どもたちへのワクチン接種の重要性を強調する。

「今回の結果は、こうした生命を脅かす可能性のある合併症を予防するために、子どもへのワクチン接種と予防の重要性を強調している」とアントンは話している。

翻訳=溝口慈子

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