iPadで子どもたちはもっと速く遠くへ行ける アップル副社長が語るGIGAスクール構想

iPadで授業を受ける日本の中学生(墨田区立錦糸中学校の生徒)

2019年に日本でGIGAスクール構想が導入され、3年が経とうとしている。Apple(アップル)はこの取り組みに大きく貢献する企業の1つだ。同社副社長であり、教育担当でもあるスーザン・プレスコット氏に現在のアップルの方向性と教育についての指標を聞いた。

「アップルの教育に対するコミットメントは創業当初から変わりません。Mac登場以前のApple IIのときから、テクノロジーを教室に導入する取り組みを続けています」とプレスコット氏は語る。

アップルは、文部科学省が行っているGIGAスクール構想に当初から協力している。

「アップルの目標は、教師と生徒の両方をサポートすること。彼らと繋がり、1人ひとりに最適化された教育を提供し、主体的な学びにつなげること。これをMacやiPadを通じて実現することです。我々と学校が相互に関与していくことも重要です」

日本での早期成功例として、よく取り上げられるのは熊本市の事例だ。

「熊本市は生徒の主体性にフォーカスし、成功しています。この事例から、学習者のニーズを尊重しながら進める学びが、地域社会に大きな貢献力があると気づきました」

熊本市は2018年から大規模なICT教育のためのプロジェクト生徒をスタートさせた。現在2万3000台以上のiPadが子どもたちの学びに利用されている。

「彼らはプロジェクトグループで協力する学びを取り入れています。生徒がアイデアを出しあい、ブレインストーミングをして一丸となって問題解決に当たることで創造性が育まれたことは、未来の思考のあり方に繋がっていくでしょう」

プレスコット氏は、日本の教育における将来志向はすばらしいものだと語る。子どもたちの学力を伸ばすことは、日本のスキルアップに、直接的に関わる。

「子どもたちは、必須言語としてプログラミングを学ぶべきでしょう。これは、プログラマーになれということではありません。プログラミングは課題解決や将来の思考に重要だからです。今や、スマートフォンやコンピュータだけでなく、クルマなどあらゆるものにソフトウェアが入っています。若い世代が、コーディングやプログラムを恐れない環境を作ることが大切なのではないでしょうか」

その一方で、プレスコット氏は教育者がプログラミングを教えることのハードルの高さにも理解を示した。
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編集=安井克至

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