北極の温暖化は他地域の4倍の速さで進行中

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気候変動により世界中で気温が上昇しているが、北極圏は1979年以降、地球の他の地域よりも4倍近く早く温暖化していることが11日に科学誌『Communications Earth & Environment』に発表された新しい研究で明らかになった。

フィンランド気象研究所の科学者が発表したこの研究によると、1979年から2021年までの43年間における北極圏の平均気温の変化は、世界の平均気温が10年当たり0.19度だったのに対し、0.73度だった。

この研究結果は、北極が地球の他の地域よりも2倍の速さで暖かくなっているという以前の推定の倍で、研究者が「以前考えられていたよりも地球温暖化の影響を受けやすい」とする北極への気候変動の影響への懸念をさらに募らせるものだ。

海水温の上昇、海氷の融解さらには欧州の大気汚染などが北極圏の温暖化を加速させていると科学者たちは考えており、このプロセスは北極温暖化増幅として知られている。

最も気温が上昇したのはロシア北部のノヴァヤゼムリャという地域で、他の地域よりも7倍の速さで気温が上昇した。

北極圏の気温上昇は、その地域の生息環境に劇的な影響を与えるだけでなく、グリーンランド、カナダ北部、シベリアの雪や氷が溶けて予測できない水位につながる。米環境保護庁によると、1980年以降、北極圏の氷が溶ける季節が長くなり、6月初旬から9月まで続くようになった。これは気候変動の主な指標だ。

2020年の米海洋大気圏庁(NOAA)の報告によると、同年春のユーラシア大陸の北極圏の積雪量は記録的に少なく、海氷の量も衛星画像が使用されるようになってから2番目に少ないことが判明した。2019年10月から2020年9月の陸上の平均気温は1900年以降2番目に高かった。そして、海氷が溶ければ溶けるほど、将来の融解は早くなると研究は指摘する。氷は太陽からの熱を反射しやすいため、水は氷よりも太陽からの熱を吸収することがわかったという。

Natureで10日に発表された研究では、氷河期以来、松の木がなかった北極圏のツンドラ地帯に温暖化によって針葉樹林が入り込んでいることも判明している。

翻訳=溝口慈子

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