AIに児童ポルノの見分け方を教えるTikTokの業務請負人の過酷な任務

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売上高1兆円のグローバル企業


Teleperformanceは、1970年代から続く世界的な顧客サービスの大手だ。同社は昨年記録的な成長を遂げ、80億ドル(約1兆円)以上の売上高を記録した同社は、ヘルスケア、ホスピタリティ、リテール、テレコムなど、ほぼすべてのセクターにまたがる約1000社の顧客を誇り、最近になってソーシャルメディアをそのポートフォリオに加えたばかりだ。

TikTokが急成長し、プラットフォーム上のコンテンツ量が急増するにつれ、同社はTeleperformanceに任せるモデレーション業務を増やしていったと、エルパソの元モデレーター兼スーパーバイザーで、3年近く勤めた後7月に同社を退職したリチャードは指摘する。リチャードによると、モデレーションの現場は混乱を極めており、多くの場合、若くて未経験なスタッフが置き去りにされていたという。

TikTokは、職場のトレーニングをほとんど管理していないとリチャードは言う。そして、Teleperformanceは、適切な管理も正しいモデレーションもできていなかったという。「彼らはただ、手いっぱいになっていた」と彼は話した。

元スタッフたちはDRRについて、「TikTokから削除された違反コンテンツの例で埋め尽くされたスプレッドシート」だと説明した。モデレーターは、そのコンテンツがどのポリシーに違反しているか、どのように「タグ付け」するかのガイダンスを得るためにそれを参照するよう指示されていたという。そこには、テロ組織に関するもの、ヌードに関するものなど、コンテンツの種類ごとにさまざまなタブが設けられていた。また、児童の性的虐待に関するものには、独自のタブが設けられていた。

フォーブスは、これらの情報をTikTokとTeleperformanceに確認したが、TikTok は情報のディテールが十分ではないと述べ、Teleperformanceも回答を拒否した。

エルパソで勤務していたホイットニーは、Teleperformanceで時給18.50ドルを稼げるチャンスに飛びついたという。彼女は以前に、ウォルマートの改装を行う会社で働いたが、その際の時給は16ドルだった。採用担当者はホイットニーに「TikTokの警察官」のような仕事だと説明し、彼女は人々を守る仕事に興奮したという。

しかし、Teleperformanceで1年余りを過ごした彼女は今、頻繁に思考回路を失い、時おり原因不明の怒りで満たされ、自殺願望を抱くようになったという。

退役軍人で、戦闘に関連するPTSDを抱えているナセルも、Teleperformanceでの体験が米軍時代よりも過酷だったと述べている。仕事を得るために見させられた子どもたちの生々しい映像について彼は、「そのことを思い出すとうんざりする」と述べた。

編集=上田裕資

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