私は気候科学の専門家で、以前はアメリカ気象学会(AMS)の会長を務めていた。そのため、暑さについて少しは知っている。息子のパーカーのことは、少し前から引っかかっていた。そして私は、10代の子どもや若者たちが夏のこの暑い時期に長袖のパーカーを着る理由について、何かそれを裏付ける科学的根拠があるかどうか、探ってみることにした。
温暖化は続いており、夏はこれからさらに暑くなる可能性がある。米海洋大気局(NOAA)によると、米国の大半の地域では今月(8月)中はほとんど、平年を上回る気温になると予想されている。月末には多くの学区で、新学期が始まる。だが、若者たちはどんなに暑くても、パーカーを着るのをやめないのだろう。
私は科学者らしく、まずは実際の状況を探ってみるべきだと考えた。そして、男性向けのライフスタイル誌MEL(メル)に掲載されていたある記事を見つけた。タイトルは、「夏にパーカーを着る者を悪く言うな」だ。
筆者のイアン・レクリトナーはパーカーの長所として、以下の点を挙げている。
・皮膚がんの原因になる紫外線を防げる
・蚊に刺されにくい
・ポケットが増える
・ボディイメージを気にしなくていい
率直に言って、すべてが納得のいく理由だ。このほか、息子によると、パーカーを着るのは一部の教室が冷えすぎているからでもあるという。
私がこの記事のなかで特に気になったのは、「パーカーは着心地がいいだけでなく、安心感も与えてくれる。まるで重い毛布(加重ブランケット)のように」と書かれていたことだ(これは、ツイッターでも多くの人が指摘していたことだ)。
これこそ、科学文献が役立つところだ。私はあらゆる“象牙の塔”にいる友人(学者)たちの論文をあさった──グーグルスカラーで。