それは「GDPの値が国際的な商習慣によって歪められることがある」という事実がある、とWorld Population Reviewは説明している。「例えばアイルランドやスイスのように、外国企業を優遇する政府の税制のおかげで租税回避地とみなされている国もある。これらの国では、GDPに計上されている金額のうち、実際にその国にとどまる所得ではなく、国際企業がその国を経由して流したお金がかなりの割合を占めている可能性がある」という。
米国は、多くの金融監視団体から租税回避地とみなされている。
ルクセンブルクもまた租税回避地として扱われることが多いが、海外労働者の割合が高いというもう1つ特殊な点がある。2021年の第2四半期には21万2000人近くが働いていた。「外国労働者は国の富に貢献しているが、GDPを住民数で割るときに含まれないため、人為的に高い数字になる」と地元の放送局RTLは指摘している。
租税回避地が国のGDPに与える影響を補うために、多くの経済学者が各国の国民総所得(GNI)を追跡調査している。
また、生活のさまざまな側面を測定することを目的とした幸福度指数もあり、最も伝統的な指標を補完するために使用されている。
洗練された財政、税金、天然資源
ルクセンブルク、スイス、シンガポールを含む多くの小国が豊かさをもたらしている主な要因として洗練された金融部門と、海外からの投資や専門家の才能を引き寄せるように構成された税制が挙げられる。
その他、カタール、ブルネイ、アラブ首長国連邦など上位10カ国には、炭化水素などの天然資源が大量に埋蔵されている。カジノ事業を展開するアジアのギャンブル天国マカオには富裕層の観光客が大挙して押し寄せる。
パンデミック効果
いずれにせよ、2022年については新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、多くの企業が休業や事業縮小を余儀なくされ、リモートワークの可能性が飛躍的に拡大するなどの変化があったため、すべての指標を調整する必要があった。
ルクセンブルクは欧州の近隣諸国よりもはるかにうまくパンデミックを乗り切った。
2014年に「ルクセンブルクは1人当たりのGDPで10万ドル(約1333万円)の大台を突破した」とGlobal Financeは記している。「ルクセンブルクはその富の多くをより良い住宅、医療、教育を国民に提供するために使っており、国民は欧州で圧倒的に高い生活水準を享受している」