不況の影響を強く受ける若者をメンタル面でも支援する必要性

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不況の影響を最も受けるのは、キャリアをスタートさせたばかりの若い世代であると長い間考えられてきた。例えばこれまでの調査によると、不況時の21歳から25歳の失業率は、25歳から54歳の失業率の2倍になることがわかっている。

このようなキャリアの初期段階での解雇は、収入が最も伸びる時期であるためダメージが大きい。特にパンデミックが、若者の精神的な健康に特別な問題を引き起こしている間はその傾向が顕著だ。

「パンデミックの後、若者のメンタルヘルスとウェルビーイングを支援する必要性に気づきました」と、グレーター・マンチェスター市長のアンディ・バーナムは、最近のナショナル・ユース・サミットで私に語った。「世界が複雑化し、若くあることがかつてないほど難しくなったという点で本当に大きな問題があります。若者たちは、私たちを襲っている衝撃の波に本当に苦しんでいるのです」

楽観主義の欠如


バーナムはさらに、14歳から15歳を対象にした調査では、将来への不安や、将来への悲観的な見方が根底にあることを説明した。

バーゼル大学の調査では、若者のキャリアにとって願望が重要であることが示唆されている。実際、ピグマリオン効果の一種として、この研究では、願望が高ければ高いほど、常に高い業績を上げることができることを発見した。

この信念は重要なのだが、ニューヨーク大学が最近行った調査では、若者が抱えている懸念が浮き彫りになった。このデータによると、地位の高い親の息子や娘はこれまでの研究で考えられていたよりも、労働市場において多くの優位性を持っていることが明らかになったのだ。

例えば、一流の職業に就いている労働者の子どものおよそ50%は、現在、同じような身分の職業に就いている。また、最下層に位置する親の子どもの半数は、同じような職業に就いている。

出世


バーゼル大学の研究者たちは、1958年の同じ週に生まれた英国人1万7000人以上を調査した。このデータセットは、彼らの生涯を通じて収集され、実際に今日まで続いている。このデータには、各参加者の幼少期の環境、幼少期の願望、成人してからのキャリアや経済的な進歩などの情報が含まれている。

その結果、認知能力も重要だが、学業とキャリアの両面で成功するかどうかを決める最も重要な要因は、幼少期に抱いた願望であることがわかった。実際、研究者たちは、若いころの野心の欠如が、今日の社会的流動性の欠如の重要な要因であると考えている。

「これは、家庭の収入や参加者の能力の差だけでは説明できません。むしろ不平等が早い段階で、彼らの願望そのものから始まっているようです」と、研究者は説明している。
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翻訳=上西 雄太

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