「地方では、都市部に比べてプライマリーケアを行う医師の数が約半分で、専門医の数は8分の1だ」とジェニファー・シュナイダー医師(47)は述べている。ホームワード・ヘルス(Homeward Health)の共同創業者でCEOの彼女は、このギャップを埋めたいと考えている。
ホームワード・ヘルスは4カ月前に実施したシリーズAで2000万ドルを調達したのに続き、8月3日にシリーズBで5000万ドル(約67億円)を調達したことを発表した。新たなラウンドは、ARCH Venture PartnersとHuman Capitalが共同で主導し、General Catalystが参加した。
同社はまた、ミシガン州の医療保険会社プライオリティ・ヘルスと提携し、今後3年間で最大3万人のメディケア・アドバンテージ受給者にサービスを提供することを発表した。
ヘルステック大手のリボンゴ(Livongo)の元プレジデントのシュナイダーは、ヘルスケア分野では、地理的な公平性が置き去りにされていると指摘する。アメリカでは5人に1人が地方と呼ばれる地域に住んでいるとされる中、ホームワード社は、バーチャル医療と在宅医療ケアを通じて、医療の地域格差を解消しようとしている。
プライオリティ・ヘルス社がホームワード社との提携を決めたのは、同社のケアモデルに魅力を感じたからだと、プライオリティ社のシニアバイスプレジデントのキャリー・キンケイドは話す。「ホームワード社との提携で、人々が本当に必要としている場所で、ケアを提供することができる」と、彼女は述べた。
シュナイダーにとって、ホームワード社のサービスは個人的な思いから始まった。ミネソタ州のウィノナという田舎で育った彼女は、米国の地方部の壊れた医療システムを立て直したいと考えている。彼女は、病院が閉鎖され、プライマリーケアや専門医療を提供する医療機関が不足している地方で、様々な企業や組織と協力することが有効な戦略になると考えている。
例えば、薬局チェーンのRite-Aid Pharmacyとのパートナーシップでは、駐車場に移動式ヘルスケアユニットを設置し、地元の人々に診療サービスを提供している。
「私たちは、地方で活動している企業と競争するのではなく、よりインパクトのある効果的な活動を行うために、彼らとパートナーシップを組んでいる」と、シュナイダーは語った。