さらに、もう一歩踏み込んで、彼女は食品の無駄を防いでもいた。
「私なりのこだわりで、オーガニックの食材を使っているんです。野菜の皮も気にせず食べられるので。使い始めたきっかけは、自分の体のためです。私、肌がすごく弱くて。薬とかに頼りっぱなしなのは良くないなと。それで、体質改善のために、何か自分で変えられることないかなと思って。自分の体質とフードロス問題、両方を変えていけたら、嬉しいなと思っています」
AKB時代、握手会ではファンから相談を受けたこともあった。「島崎さんがいてくれて自分の人生が楽しくなりました」そんな言葉をかけられたこともあった。そして「こんな私でも、誰かを支えることができる」と気付かされ、それが、彼女の芸能活動のモチベーションにもなっていた。
いっぽうで、彼女自身が苦しいとき、それを救ったのは“人生の先輩”の言葉だった。
「私自身は、一番苦しかったとき、秋元康さんからかけられた『人生はゲームだと思え』という言葉に救われました。『そっか、ゲームか』と思ったら、苦しい気持ちが少し楽になったんです。
もう一つ、気持ちを楽にしてくれたのが、名言集で読んだ伊達政宗の言葉。『この世に客に来たと思えば、なんの苦もなし』だったかな。自分が辛いときって、悲劇のヒロインになりがちなんです。だけど『自分はお客さん、脇役なんだ』と思ったら、その辛さもちっぽけに思えたんですよね」
それでは、今回の映画の教師役になぞらえて、人生の先輩として、子供たちに伝えたいことはなにか。問うてみると、この短いインタビューのなか、たびたび用いていた「当たり前」というワードを改めて使って、彼女はこう力を込めた。
「生徒たちには『当たり前のことを忘れずに成長して!』と教えたい。ポイ捨てはダメ、って当たり前のことじゃないですか。私も小学校のころ、教わりましたよ。『学校の周りに落ちているゴミを拾いましょう』って。そんな当たり前のことが、大人になるとできなくなってしまう人が少なくないんですよ」
そして、彼女が考える「当たり前」のSDGsに、話は続いた。
「じつは私、ミニマリストなんです。だから、お洋服も、本当に必要最低限の服しか買わない。そして、着なくなった服は後輩に譲っています。自宅ではウォーターサーバーを使っているので、ペットボトルの飲料はほとんど買いません。買うとしても、ラベルが付いていないものをネット通販で選んでいます。自分の体にいいこと=地球にいいこと、そしてそれは、当たり前のことなんだと忘れずに生きていきたいです」
島崎遥香◎1994年3月30日生まれ。埼玉県出身。2009年よりアイドルグループAKB48に加入し、“ぱるる”の愛称で人気を博す。2016年にAKB48を卒業した後は女優として活躍。主な出演作として、映画『翔んで埼玉』(19)、ドラマ「ゆとりですがなにか」(16)、連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、「ハレ婚」(22)など。最近はモキュメンタリー番組「私たち結婚しました 3」(AbemaTV)への出演も話題を呼んでいる他、9月1日公開の映画「さかなのこ」にも出演。