予約が必要なダイヤモンドヘッド登頂
ハワイ州の環境維持に関連して、これから来る観光客が知っておくべき情報がもう1つある。トレイルコースとして人気のダイヤモンドヘッド州立公園が、州内在住者以外の観光客を対象に事前予約システムを導入したのだ。
予約は14日前から受け付けており、入場料も1人5ドルに値上げされた(従来はわずか1ドルだった)。またレンタカーで行く場合は10ドルかかる(従来は5ドル)。ハワイ州立公園の入場料値上げは実に20年ぶりのこと、混雑緩和に加えて、環境保全のための試みだ。
撮影=岩瀬英介
筆者も、先日、友人の観光客のためにこの予約システムを使ったが、かなり先まで予約が埋まっていたので、出かける際には早めの予約をおすすめする。予約の有無の確認はかなり厳格に運用されていて、入口のゲートでID(身分証明書)や予約証明が求められ、入場が許されずにその場で帰らされている観光客やIDを忘れた在住者を見かけた。どうやら州も本気で取り組んでいるようだ。
他にも環境保全に対するハワイ州の取り組みはある。ハワイのホテルに泊まった経験のある人は、ホテル税などが10%以上も加算されているのに驚いたことはないだろうか。具体的には、ホテル税10.25%に消費税4.712%が加算されていたのだが、さらに2022年からはホテル税が3%加算され、13.25%に引き上げられた。つまりホテルに宿泊すると、消費税と合わせて問答無用に約18%の税金が加算されるわけだ。
撮影=岩瀬英介
この税収の一部が公園やビーチといった環境保全に使われるのだが、現在ハワイ州の議会ではさらに「グリーン・フィー」と呼ばれる環境保全のための税金の導入が検討されている。
こちらも観光客を対象にするという話があり、ハワイ在住の筆者から見ても、これ以上ホテルに宿泊する観光客に負担を強いるのはやりすぎではと思ってしまう。もちろん環境保全は大切なことだが、その負担を求める先があまりに安易な気もする。
ダイヤモンドヘッド州立公園 (c) Hawaii Tourism Authority (HTA)/Tor Johnson
「自然との共生」はいまや全世界的なキーワードで、素晴らしい自然を誇るハワイには不可欠な考え方だとは思うが、お金をかけなくとも人が少なくなれば自然環境が改善するという事実を、皮肉にもコロナ禍で突きつけられたいま、ハワイ州が今後どのような施策に乗り出すか注目していきたい。