日本はなぜ「エシカル後進国」なのか

世界中で関心が高まっている「エシカル消費」。

人や動物、環境に配慮した消費は、持続可能な未来を実現するために必要不可欠である。

日本でも少しずつ浸透しつつあるが、2020年に消費者庁が行った調査では認知度が12.2%となっており、ほかの先進国に比べて実践している人が少ない傾向にある。

日本はなぜエシカル後進国になってしまったのか。その理由を探っていく。

環境破壊を輸出しているから




まず、エシカル消費への関心が高まらない要因として、国外に環境破壊を輸出していることが挙げられるだろう。

先進国で暮らす私たちの消費行動が、人件費の低い発展途上国に、ゴミの山と大量の温室効果ガスを排出する大規模工場を作っているのだ。

森林破壊や魚の乱獲もほとんどが発展途上国で起きているが、根本的な原因は先進国に住む人々の大量消費にある。

先進国の自分本位な欲望の代償が、回り回って発展途上国で顕在化している。

SDGs達成度ランキングの上位を先進国が独占している裏には、環境負荷を途上国に押し付けることで評価を高めるカラクリがあったのだ。

近年はメディアの発信で社会問題について知る機会が増えたが、先進国で生活していると当事者意識を持ちにくいため、行動に移している人はまだまだ少ないのが現状である。

SDGsに否定的な人が多いから


また、日本人にSDGsに否定的な人が多いことも、エシカル消費が広まらない要因となっている。

まだ取り組んでいる人が少数派であるため「意識高い系(笑)」と揶揄されがちだ。

SDGs関係で大きなお金が動いており「金儲けの道具」と非難されることも多いが、稼ぐのは悪いことなのだろうか。

地球の未来のために行動した人が報われる社会こそが、サステナブルな社会だと私は考える。

エシカルライフにはお金がかかる




エシカルなライフスタイルを実践すると、お金のかかることが増えてしまう。

エシカルアイテムは、素材や品質、労働環境、輸送ルートなど、さまざまな配慮がなされているため、どうしても値段が高くなる。

その値段こそが本来支払うべき対価であり、他の商品が安すぎるのだが、生活に余裕がない人は今に精一杯で、他人や未来のことを考えられないのだ。
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文=エシカルな暮らし編集部

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