「愛か毒か?」心理学者が2人の関係に隠された意味を読み解く

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セラピストにとっては、クライアントから「でも、私たちの関係は最初はとてもすばらしかったのです、もし元に戻せたらどんなに良いでしょう」とか「もし、相手が他の誰かにとってすばらしいパートナーだったらどうしましょう。もし、私だけがこのような行動を相手にとらせているのなら?」という話を聞くのは珍しいことではない。

ここでは、一度立ち止まって恋愛関係を見直すべき3つの兆候についてお話ししたい。それが簡単だとは言わないが、しかし、自分の心の健康を真剣に考えるのであれば、自分自身や他の人と真剣な話をすることを避けてはならない。心理学者の誰もがいうことだが、心理的幸福(psychological well-being)への道は決して平坦なものではない。

兆候その1:妥協が双方向ではない


自分だけが妥協しているならば、それは2人の関係を見直すべき兆候だ。

もちろん、ほとんどの人間関係において妥協は避けられないのだ。そして、もちろん、それは名誉なことでもある。ただし、それも程度による。なぜなら、妥協は双方向であるべきだからだ。あなただけが常にパートナーに合わせて予定を変更し、譲歩しているとすれば、それは「管制室へ、問題が発生した」級の非常事態だ。

大切なパートナーが自分から妥協してくれないのも問題だが、ときおりこちらから表明する希望をにべもなく断ることも問題なのだ。

一例を挙げよう。

たとえば、ある日「待望の自分の時間」を取ろうと決めたとしよう。そのため相手の家族が主催する行事に参加しないことを選択することもあるだろう。

なによりそれは至極当然な選択だ。それが、健全な境界線を保つということなのだ。しかし、この決断をしたためにパートナーがあなたに不快感を示すなら、それはあなたに妥協の大部分を求めているだけでなく、あなたが境界線をほとんど主張しない場合でさえ、その境界線を受け入れることを渋っている印なのだ。

ここで注意しなければならないのは、人間関係においてどちらがより妥協しているかを判断しようするとき、私たちは必ずしも最も客観的な判断ができるわけではないということだ。夫婦に家事をこなす割合を推定するようたずねた、古典的な研究がある。それぞれが答えた割合を足すと、ほとんど常に100%を超えていたことはいうまでもない。夫と妻の双方が、自分は家事の8割以上をこなしていると主張する例もいくつか見受けられた。

責任の引き受け方、妥協の仕方などに対しては、正直かつ客観的に評価できるように心がけよう。そして、バランスが悪いと感じたら、パートナーに注意を促して欲しい。カップルのセラピストといっしょに相談をすることで、物事が正しいバランスに回復することもある。

兆候その2:モラルと倫理観が違う方向へ引きずられている


関係を見直すべき2つ目の兆候は、相手の問題行動に対して繰り返し弁解している自分に気がついたときだ。
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翻訳=酒匂寛

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