『Secret Pandemic』の著者であるシモーネ・ヘンは、ビジネスを成功させるためには、他者とのつながりが重要であるという。ヘンはGoogle(グーグル)、Bytedance(バイトダンス)、Salesforce(セールスフォース)、SAP、L’Oréal(ロレアル)、TEDx、United Nations(ユナイテッドネーションズ)をはじめとして、多くのクライアントを抱える、ヒューマンコネクションのスペシャリストだ。以前は国際的なキャスターで、Virgin Radio Dubai(バージンラジオドバイ)、HBO Asia(HBOアジア)、CNBCに出演し、CNNやVogue(ヴォーグ)、Elle(エル)、Harper’s Bazaar(ハーパーズバザー)などの出版物で彼女や彼女の仕事が紹介されている。
ヘンは「回復力を高めたいなら、健康さを感じること、そして生活の中に人とのつながりを持つことが必要です」と説明する。だからこそ、起業家は意図的かつ戦略的に仲間を増やしていくことが大切なのだ。
孤独の3つのタイプ
チームメンバーがいない起業家は、人脈を作り、育てることがより困難になるだろう。これは、従来の主要なつながりの源泉が、職場でのやりとりだったことが大きな要因を占める。日常的に何らかの意図的なつながりがないと、孤独になるリスクは高まる。
ロチェスター工科大学のブルース・A・オースティンによれば、孤独感には3つのタイプがあるという。1つ目の「親密さへの孤独感」は、本当に弱音を吐ける相手を持つことへの切望だ。この欲求を満たすための最も一般的なやり方は、恋愛のパートナーや親友を持つことだ。
2つ目は「関係性への孤独感」だ。これは、何か困ったことがあったときに、頼れる社会的つながりの一部であると感じられない場合に起こる。従来は、このような社会的保護を与え結束を高めるために、人は同僚と向き合ってきた。
最後の孤独感は、「集団の中の孤独感」だ。これは、自分のビジョンを共有してくれる人が周りにいないと感じたときに生じるものだ。「職場というものはこの三大孤独感のうちの後の2つを和らげてくれていました」とヘンはいう。「しかし、1人で活動する起業家は、意図的に人と人とのつながりを育まない限り、集団的そして関係的孤独感に悩み、燃え尽き症候群に陥ってしまうかもしれません」
「つながり」と「エネルギー」の関係
「つながり」と「エネルギー」の相互関係は、人間の中に深く組み込まれている。ヘンは「私たちの体は、同じ任務につく場合、1人よりもいっしょに任務を遂行する人がいたほうが、より多くのエネルギーを出せるという研究結果が出ています」という。
起業家は、会社を作り、規模を拡大する過程で、多くの仕事を引き受けることがよくある。従来なら、起業家はオフィスで他の人と交わることで、そうした仕事をやり遂げる活力を得ていた。しかし、世界的な在宅勤務者の増加によって、それはより困難なものとなっている。
在宅勤務は生産性を高めることができるものの、その分代償が必要となる場合がある。孤独感という精神的ストレスを経験すればするほど、人は落ち込んだり、不安になったりすることがある。その結果、燃え尽き症候群に陥りやすくなり、燃え尽き症候群の経験が孤独感を助長してしまうのだ。