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2022.08.10 09:00

サル痘の症状、従来との違いで見逃しも 高い米国の検査陽性率

Getty Images

今年に入り、世界的に流行しているサル痘の感染者には、従来アフリカを中心に確認されていた感染者とは異なる症状が出ているという。

英医学誌BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)に先ごろ発表された論文は、各国の当局が感染拡大の抑え込みに苦慮するなか、医療機関で感染を見逃されている人がいる可能性もあると指摘している。

研究チームに協力したロンドンのガイズ・アンド・セント・トーマスNHS(国民保健サービス)ファンデーション・トラストによると、現在の流行において最も多くみられる症状には、これまでサル痘に典型的なものとして挙げられていなかった症状も含まれている。

直腸痛と陰茎の腫れ、扁桃腺の腫れ、局所的な(全身性ではない)皮膚病変などがそうした症状で、研究チームは、これらが梅毒や内方発育毛(埋没毛)、扁桃炎など、その他の疾患の症状と間違われる可能性もあると警告している。

また、英保健安全保障庁(UKHSA)はサル痘について、「発疹に先行して」発熱、リンパ節の腫れ、筋肉痛などの全身症状が出るとしている。だが、調査対象とした感染者の半数近く(47%)の発疹の現れ方は、その定義に該当していなかった。

こうした症状がみられる原因は今のところ明らかにされておらず、疾患そのものが変化した可能性もあるとされている。

大半は性交渉で感染


サル痘は従来から、主に密接な身体的接触によって感染する可能性があるとされてきた。感染のリスクは、誰にでもある。だが、現在の世界的な流行においては、感染者は大半が、男性と性交渉する男性であることが分かっている。

サル痘は今のところ、性感染症に分類されている疾患ではない。だが、WHOは現在の状況から、男性と性的関係を持つ男性に対し、パートナーの数を制限するよう呼び掛けている。

過去の流行時と比べ、現在の流行においては会陰部の皮膚病変が報告される割合が大幅に増加しており、性行為によって感染した可能性が高いことを示しているという。

高い「検査陽性率」が意味することは─


サル痘はすでに数十年前から知られている感染症だ。ただ、その流行は中央・西アフリカの一部地域に限定されていたことから、その他の地域ではほとんど注意が向けられていなかった。サル痘ウイルスの宿主はげっ歯類とみられているが、具体的な動物の種類は特定されていない。

密接な接触によってヒトからヒトに感染したり、流行が起きたりする場合もあるものの、感染が容易に拡大するウイルスとはされていない。また、同じオルソポックスウイルス属の天然痘のワクチン・治療法がサル痘にも効果的であることが分かっている。ただ、現在のところ、ワクチンは大幅に不足している。

世界保健機関(WHO)は、7月23日、感染が世界的に急速に拡大しているとして、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。警戒レベルを最も高い水準に引き上げた。米疾病対策センター(CDC)によると、8月5日現在、世界では88カ国で2万8200人以上の感染が報告されている。

感染者のうち約25%は、米国内で確認されている。さらに、米国では検査での陽性率が非常に高くなっている。これが意味するのは、実際の感染者は報告数を大幅に上回っている可能性が高いということだ。

編集=木内涼子

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