世界で最初のパーソナルコンピューターが何であるかは諸説ありますが、一般的には1975年に発売されたAltair 8800だとされています。それから遅れること6年、マイクロソフトのMS-DOSやインテルのマイクロプロセッサーなどを組み合わせてIBM PCが産声をあげました。
それまで販売する製品のほとんどを社内で設計・生産してきたIBMでしたが、このときにIBM社内で新たに設計したのはキーボードとシステム装置のみ。店頭価格1500ドルで販売できるパーソナルコンピューターをできる限り迅速に生産することを目指したため、他社の既製品を使わざるを得なかったのです。
世界初でもなく、IBMの技術の粋を詰め込んだ最先端機種というわけでもありません。それでも、1500ドルという当時のIBM製品としては破格の値付けや小売店を通じた販売手法などが功を奏して、この初代IBM PCはコンピューターが一般の人々に広く普及するきっかけとなりました。当初は5年間で24万台を超える程度と販売台数の予測を立てていたIBMでしたが、実際にはこの数字をわずか1カ月で達成してしまうほどの勢いで売れたといいます。
また、IBMはこのPCをオープン・アーキテクチャ製品とし、システムの回路設計とソフトウェアのソース・コードに関する技術情報を公開しました。その情報をもとにして他社がソフトウェアや周辺機器の開発を行えるようにしたことが、後にIBM PCがパーソナルコンピューターの事実上の標準機になっていくことにつながります。
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