英ブリストル大学の研究チームが、抗微生物化学療法学会が発行するジャーナル「Journal of Antimicrobial Chemotherapy」で発表した最新研究によると、生肉を主食にしていたペットの犬の糞には、薬剤耐性大腸菌が含まれている可能性がはるかに高かった。
2022年6月にジャーナル「One Health」で発表された先行研究では、犬が生肉を摂取することと、その糞に抗生剤に耐性を持つ大腸菌が含まれることの関係が初めて明らかにされている。この先行研究は、英国で飼われている16週未満の犬223頭の糞を分析したもので、ブリストル大学の研究チームも参加していた。
犬の糞に含まれていた大腸菌を培養した分離株のゲノムを解析した結果、テトラサイクリンやアモキシシリン、ストレプトマイシンなどの抗生剤に対して耐性を持っていることがわかった。
英国で行われた全ゲノム解析による過去の研究は、家畜と人間のあいだで抗生剤耐性(antibiotic resistance:ABR)を持った細菌が共有されることは滅多にないと結論づけている。とはいえ、飼い主と犬は日常的に触れあっているため、細菌の共有ややりとりの可能性はずっと大きい。
One Healthに掲載された研究の論文著者は、こう述べている。
「飼い犬の体内にABR大腸菌が定着し、それが住居に持ち込まれる状況はいくつかある。細菌が定着す際の大きな経路は、食物の経口摂取だ。ゆえに、人間や農園の家畜から発見されるABR細菌に関しては、そのおもな発生源が、犬が糞便や、糞便で汚染された食べ物や水を口にすることである可能性がある」
一方、都会で飼われている犬に関しては、薬剤耐性を持った大腸菌が具体的にどこからやって来るかはいまだにわかっていない。