欧州全土で記録的な高温となった7月の猛暑の後、英国を代表する河川であるテムズ川の一部が干上がり、その源流は約3.2キロメートル以上下流に移動したと英ガーディアン紙は伝えている。
一方、イタリアのポー川の水位は異常な高温による過去70年で最悪の干ばつの影響でこれまでで最も低くなり、マリオ・ドラギ元首相が「過去70年で最も深刻な水危機」としてイタリア政府は緊急事態を宣言した。
米国ではメキシコ湾に注ぐリオ・グランデ川の北部の水深が浅くなり、ニューメキシコ州アルバカーキの科学者たちが淡水魚ヒメハヤの救出を急いでいるとAP通信は報じている。
米コロラド川の一部は数十年にわたる干ばつとかんがいによる水量減に直面していて、南西部全体で干ばつが続く中、干上がる危険性がより高まっていると科学者は指摘する。
米西部の干ばつでネバダ州のミード湖とユタ州のパウエル湖の水位も記録的な低さとなり、水力発電に支障をきたす恐れがあるという。22年にわたる干ばつでグレートソルト湖では約1812平方キロメートル以上で底が露出して魚や渡り鳥の生息地が減少し、ソルトレイクシティ周辺の大気中に有毒な粉塵を放出している。
米北東部でも干ばつと高温によってマサチューセッツ州のチャールズ川の一部で水位が1.8メートルも低下したと報告されている。
米海洋大気庁(NOAA)の報告書によると、米西部と南部平原地帯の70%近くが干ばつに直面している。熱波がより激しく、そしてより頻繁なものになっており、気候変動が干ばつに大きく影響していると米環境保護庁は指摘する。
科学者たちは、気候変動によって加速している干ばつや熱波が、干上がった川や小川に生息する動植物に壊滅的な影響を与える可能性があると警告している。NOAA国立環境保護センターの4月の報告書によると、特に干ばつに苦しむ西部の一部でこうした影響がすでに出始めているという。報告書は22年前に干ばつ状況の監視を開始して以来、西部が「最も広範囲で激しい」干ばつに直面しているとも指摘している。
米国では今後さらなる高温が予想されている。4日には7300万人に高温警報が発令されたが、北東部と中部大西洋岸では気温が摂氏32度以上に、南西部では同37度以上に達すると予想されており、より多くの人が高温警報の対象になる可能性がある。