「家庭料理」を好まなかったお父上の影響で、ほぼ毎日が外食という幼少期を過ごした田中代表。「実家から近い広尾や赤坂周辺に、行きつけの洋食屋さんが何軒かあって、曜日曜日で通っていました。ところが家族の誕生日だけは、母が料理をするという風変わりな家庭で(笑)」。大学時代は、一世を風靡した渋谷の公園通りにある「Jack & Betty」のサンドイッチを求めて仲間たちと通いつめ。
そして、今でも心に残る一期一会の一皿は、フランチャコルタにある世界中の美食家・垂涎のホテル「L’ALBERETA」のメインダイニングで食したミラノ風リゾットだと言う。「イタリア商工会議所・広報時代に、イタリア料理のキングと呼ばれるグアルティエーロ・マルケージ氏の通訳をしたご縁から、氏が所有されているホテルで、大きな金箔の乗ったリゾットをいただきました。お米の硬さ、目の覚めるようなサフラン色のソース……それまで食べてきたリゾットが霞むほどの美味しさで、長年、ミシュラン三ツ星を守り抜いてきた本物の味に鳥肌が立った感動は、昨日の事のよう! サマータイムに、コロッセオで素晴らしいオペラを聴いた感激と同じ感覚を覚えました」
そんな世界のグルメ三昧を経験した結果、一周回って幼い頃から日常に食べてきた洋食が田中代表の原点に。「年齢と共に、幼少期の味が懐かしく感じるようになりました。でも、ケチャップ味のオムライス、みたいな普通の洋食だと満足出来ません。シェフのセンスや洗練さが、ひと匙加えられた令和的な洋食に、今、心惹かれるのです。『TŌYAMA』は、気張らず贅沢な日常使いが出来る『ワインに合う大人の洋食』が楽しめる貴重なお店だと思います」
洋食ビストロTŌYAMA
港区西麻布1-11-13
03-6804-3969