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2022.08.05 17:30

高級EVに注力の「フィスカー」、400億円以上の受注獲得を発表

フィスカー・オーシャンがLAオートショーで上演。(shutterstuck / betto rodrigues)

デザイナーのヘンリック・フィスカーが率いるロサンゼルスの電気自動車(EV)の新興企業「フィスカー(Fisker)」は、11月に生産を開始するバッテリー駆動のSUV「オーシャン」のハイエンド版について、3億ドル(約400億円)以上の初期受注を獲得したと述べている。

同社はウェブサイトで3万7499ドルの比較的手頃な価格のバージョンのオーシャンを宣伝しているが、最初の5000台の注文は約7万ドルの「オーシャン・ワン(Ocean One)」だと、ヘンリック・フィスカーはフォーブスの取材に明かした。このモデルの生産は11月にオーストリアのグラーツで開始され、製造パートナーのマグナが運営する工場で行われる。低価格のオーシャンは2023年後半までに発売予定という。また、SUVの総受注台数は5万6000台以上という。

「現時点では、高所得者層がEVに興味を持ちファーストアダプターになると考えている。彼らは高価格帯の車を求めている。その後、2024年には価格が平準化され、3万7500ドルの車が必要とされるようになる」と、フィスカーは述べた。

フィスカー社は、昨年8万ドル以上のEVを発売した競合のリビアンとルーシッドらに続いて、動きの速い米国のEV市場に参入した。同社は、テスラの大幅なリードを切り崩すために、高価格帯の車両に続き、より手頃な価格のモデルにシフトする戦略をとっている。

フィスカー社は、オーシャンの廉価版に加えて、2024年からオハイオ州の工場で、「PEAR」と呼ばれる小型車両をフォックスコンと共同で製造する計画だ。PEARは、若い購買層をターゲットとした基本価格が3万ドルのモデルになるという。

フィスカー社は、ヘンリック・フィスカーがテスラに挑戦する2度目の会社で、最初に設立した「フィスカー・オートモーティブ」は2013年に10万ドルのプラグインハイブリッド高級車「カルマ」を数千台しか製造できずに失敗していた。

同社はまだ収益を上げていないが、8月3日に開示した第2四半期決算は、アナリスト予想に概ね一致する内容だった。四半期の純損失は1億590万ドルだったが、同社は、オーシャンの生産開始まで十分持ちこたえることができる約8億5100万ドルの手元資金を保有している。

モルガン・スタンレーのアダム・ジョナスは、「第2四半期の営業損失はコンセンサスより低く、支出はほぼ予想通りだった」と述べた。

編集=上田裕資

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