米国医師会雑誌(JAMA)に掲載された論文によると、感染の確認から6日目に迅速抗原検査で陰性となった人は調査対象者の25%で、その全員が、ウイルス培養の結果でも陰性だった。
研究チームはこの結果について、「迅速検査での陰性は、自宅待機を終了できると判断するための良い方法になるということだ」と説明している。
米疾病対策センター(CDC)は2月末にガイドラインを変更し、6日目に迅速検査を行うことを推奨するとともに、無症状、または症状がなくなった感染者の自宅待機期間を10日間から5日間に短縮。さらにその後の5日間はマスクを着用することとした。
自宅待機期間を終了するタイミングを検査結果ではなく日数で判断することについては、一部の専門家からは批判の声があがっていた。特に、感染力が強まったオミクロン株がすでに広がり始めていたこともあり、厳しい見方が示されていた。
だが、CDCはこうした変更の理由として、抗原検査は感染の確認から5日目以降の感染力を判断するのに十分なものだと証明されている検査方法ではないこと、この期間を過ぎれば(特にマスクをしていれば)、ウイルスを拡散させる可能性はかなり低くなると考えられることを挙げていた。
日数での判断は妥当か
JAMAに発表された論文は、検査結果が陰性でなければ外出を認めないとすることは、他の人にうつす可能性がない人の自宅待機期間を必要以上に長くさせると結論づけられている。
また、改善していても症状がまだあり、感染力が残っている可能性がある場合については、10日目までは適切にマスクを着用し、人混みを避けることが重要だとしている。
専門家の多くは、PCR検査よりも感度が低く、「症状がある場合」の検査に向いているとされる抗原検査は、「結果が陰性の場合でも、感染を防ぐための対策は必要だ」と指摘している。
CDCによると、英国で行われた調査では、検査で陽性が確認されてから5日がたっても、およそ31%の人には感染力が残っていたとの結果が示されているという。
治療薬使用でも「リバウンド」
一方、7月下旬に検査で陽性が確認されたジョー・バイデン米大統領は、5日間の隔離後、検査で陰性となったことからその期間を終了したが、9日目に再び陽性が確認されている。
大統領は経口治療薬「パキロビッド(パクスロビド)」を5日間服用していた。この薬を投与された人の一部に起きる「リバウンド」で再び陽性となった人は、他の人にうつす可能性があることがこれまでの研究で明らかにされており、大統領は再び隔離しての執務に切り替えている。