経済・社会

2022.08.04 17:00

米国も驚いたフィリピンの「公共機関の職員は笑わないといけない」条例

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化石やジョークのような法律や条例


翻って、アメリカの法律や条例にもユニークなものがたくさんある。イリノイ州の刑法では動物を収監することが可能になっていて、実際に猿が万引きの罪で5日間の拘留を受けたことがある。
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また、テネシー州のメンフィス市では、パイをシェアして食べてはいけないとか、持ち帰ってはいけないという誰も守らない条例が残っている。おそらく公衆衛生を危惧したある時期に発令されたものが化石化したのだろう。

笑顔ということで言えば、人口約6万人のアイダホ州ポカテロ市では、「市民は必ず笑わなければならない」という条例を戦後すぐに可決し、いまだにその条例が生きている。これは始めからジョークととらえられ、そのまま生き続けているというのがいかにもアメリカ流だ。

しかし、フィリピンの例も、アメリカの例も、単に面白い海外事情だと見過ごすことはできない。額面通りに捉えてこそ法律だと思うのは、筆者が日本人だからだろうか? むしろ、化石やジョークのような法律の残置は、ルールをわかりにくくしてかえって逆効果を産む気がする。
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一方で、いつまでも終わらないコロナ禍のなか、確かにこれまでやらなかったことに手をつけ、閉塞感の出口がどこかにないか、笑顔の円環の始点に誰がなるべきかと考えたフィリピンの両市長が掲げた公約を、一概に票稼ぎのさもしい戦術と思うのも違うような気がした。

そういえば、安倍晋三元首相は、在任中、よく笑った。あれほど人を惹きつけずにはおかないチャーミングな笑顔を振りまいた総理大臣がかつていただろうか? 法律をつくるよりまず実行。安倍首相を亡くしたことは本当に残念だ。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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