セラーの一角は、モナコ公国のアルベール2世のコレクションになっており、「購入したなかで熟成に向きそうなもののみを、数本ずつ保管している。晩餐会などのシーンに、彼の指示でのみ開けることができる」そうだ。
モナコ・モンテカルロの「ホテル・ドゥ・パリ」のソムリエ、フィリップさん(筆者撮影)
テイスティングでは、シャンパーニュ1種とブルゴーニュのシャルドネを3種。どんな気候の年だったか、どんな温度が適温か、どんな料理とのマリアージュが楽しめるか……説明を聞きながら、葡萄畑やディナーテーブルが頭に浮かんだ。
最高峰のクルマが保証する乗り心地
さて、ファントム シリーズⅡについて。グローバル・コミュニケーション・ディレクターのリチャード・カーター氏によれば、「完璧な車をより良くするのは難しい」かつ「顧客はむしろ変更を望んでいない」ことから、デザイン、機能ともに7代目からの改良は非常に限られたものとなった。
特徴的なのが、正面のパンテオン・グリルのアップデートだ。グリル自体が光るイルミネーション機能を搭載したこと、グリル上部にポリッシュ仕上げの水平方向のラインを施したことで、「RR」バッジと「スピリット オブ エクスタシー」と呼ばれるマスコットが、より目立つようになった。
より存在感が増したファントムの車体は、全長×全幅×全高=5762×2018×1646mm、ホイールベース3552mm。香水の町グラースへの道中でテストドライブをする機会があったが、その大きさや2560kgという重量を感じさせない、想像以上に軽いハンドルに驚いた。
後部座席の体験はこれ以上ない贅沢だ。その乗り心地は「魔法の絨毯」や「地上の飛行機」と例えられるが、山道のバンプも軽やかにこなし、カーブも滑らかに、まさに浮いているかのように進む。
左右各席に収納式の大型モニターとテーブル、センターアームレストの奥には冷蔵庫が備えられている。この日はシャンパングラスとともにボランジェが冷えていた。足元にはウールのカーペットが敷かれ、座席にはマッサージ機能もついている。