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2022.08.06

ロールス・ロイス「ファントム」はなぜ最高峰であり続けるのか

ロールス・ロイス ファントム シリーズⅡ

ロールス・ロイスが売れている。2021年の販売台数は5500台を上回った。これは同社史上最高の記録で、現CEOのトーステン・ミュラー・オートヴェスが就任した13年前と比較すると約5倍の数字となる。それも、継続的に値上げをしているのに、だ。

「顧客の平均年齢は43歳。理想的な年齢だ」とミュラー氏は語る。ロールス・ロイスといえば成功者のクルマ、中でも“おかかえ運転手つき”の“ショーファーカー”のイメージも強く、オーナーの年齢層は高いかと思いきや、その実態はだいぶ異なる。

その要因は、車種の拡充だ。2016年に2ドアのクーペ「ドーン」を、2018年にはニーズの高まるSUV「カリナン」を発売するなど、「自分で運転したい」層に応えたことが大きい。また、2016年から展開する「BLACK BUDGE」と呼ばれる黒にこだわったシリーズが特に若者に受けているという。

不動の最高峰


それでもやはり、ロールス・ロイスといえば「ファントム」だ。ブランドの最高峰として、もっといえば“世界最高のクルマ”として頂点に君臨し続けている。常に完璧を求め、改良が繰り返されるなか、2022年5月、8代目ファントム・シリーズIIの新型が発表された。

ロールス・ロイス ファントム・シリーズII

6月、そのローンチを記念して、南仏で各国メディアを集めたイベントが開催された。テーマは「ファントム・ランデブー(Phantom Rendezvous)」。モナコを見下ろすメイボーン・リヴィエラ・ホテルを拠点に、世界屈指のリゾート地コート・ダ・ジュールで、ファントムのあるライフスタイルを体験するというものだ。

実は、ロールス・ロイスはコート・ダ・ジュールに縁がある。アーティストや富裕層がこぞって集うようになった20世紀初頭、創業者の一人であるヘンリー・ロイス卿がこの地に別荘を建設。毎年冬を過ごし、ときにイギリスからエンジニアやデザイナーを呼んで、クルマづくりに取り組むこともあったという。

ヘンリー・ロイス卿
ヘンリー・ロイス卿

その歴史ある地で感じられる、ファントムの世界観とは。今回、それを知る手助けとして9つの体験が用意されており、Forbes JAPANは、アートとワインの2つのプログラムに参加した。

アーティストたちの憩いの場


アート体験は、ピカソやシャガールなど、20世紀の巨匠たちが愛した城壁の村「サン・ポール・ド・ヴァンス」を、専門ガイドとともに巡るというものだ。
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編集=鈴木奈央

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