創造性は高められる
ニレミア・コレクティブの投資先の1社、米カリフォルニアのオークランドに拠点を置くアーリーステージのスタートアップSkillprintには、コンピュータ科学、機械学習、神経科学、認知科学の博士号取得者が続々と集結し、新たなテクノロジーツールを開発している。人間のクリエイティビティや客観的思考、コミュニケーション、コラボレーションといった、21世紀の働き方に必要な人間の能力を分析し、伸ばすためのツールだ。
共同創業者のチェザン・ラマチャンドランは、Playnomicsという世界初のゲーム開発者向けのユーザー分析会社を創業し、2014年にゲーム開発プラットフォームUnityに売却した連続起業家だ。M&Aののち、彼は神経科学とイノベーションが交わる分野に興味を持ち、投資家として数年活動する。
「多くの神経科学、心理学、教育学の研究所に足を運んで話を聞くと、研究者たちは、ゲームを利用して人間の認知能力がマインドに与える影響について調査していることに気づきました」。ゲームによる人格分析について自信を深めた彼は、2019年、友人でソーシャルカジノゲーム売却の実績をもつデビン・ミヨシと共にSkillprintを共同創業する。
Skillprintでは、自身の認知スキルや心理的特性、世界観がゲームによって分析され、強みを明確にしたプロフィールが作成されることによって、日々の気分や感情をコントロールできるようになる。さらに、それらの情報を労働市場の膨大なデータ(米国労働省が30年にわたって3万の職業とスキルを分析したオープンデータ)にAIがマッピングし、自身のプロフィールのどこが改善でき、成長できるのか、自分の気づいていない才能についてもアドバイスを受けることができる。
例えば、あなたがグラフィック・デザイナーだとすると、その創造性を空間デザイナーとして生かせる可能性があり、家や庭をデザインして人を喜ばすことができる隠れた能力があることを教えてくれるという。
「神経科学的観点から言うと、自分の心が動く方法や、世界についての見方は、経験に根ざしています。自分自身についてより深く知り、より多くの状況を見、異なる場所に身を置くことにより、人間のクリエイティビティは高めることができます」とラマチャンドランは話す。「大事なのは、楽しいことだと思っています。没頭すると、人は自分でも知らない自分を出すことがある。ゲームはそれにピッタリなんです」
最新の認知科学、神経科学を用い、ゲームを通して自身の特性を知るストレングス・ファインダー、Skillprintのアプリケーション。協働で自他の強みを活かすチーム機能も開発中という。
現在、Skillprintはベータ版として限られた顧客にのみリリースされているが、年内にはより広範なかたちでパブリックにリリースされる予定だという(日本市場は未定)。toC、toBともに展開予定だ。