ライセンシング・インターナショナルがライセンシング業界を調査した結果をまとめるこのリポートは、「ブランドオーナーや製造会社、ライセンシーが戦略計画を立案する際、トレンドや今後期待できる分野などを調査するのにとりわけ役立つものだ」とリーガンは言う。
2021年もパンデミックによる影響があり、大作映画や、ライブでの娯楽イベント開催で見込まれていたライセンス収入が打撃を受けた。しかし、セレブリティや企業、パブリッシング、アートを含むカテゴリーにおける消費の伸びが、2021年に失われたエンターテインメント売上を補ったかたちだ。
スポーツ分野のプロパティは、2020年にパンデミック対策で都市封鎖が実施されたことで、かなりの痛手を被った。しかし、2021年は順調に回復し、2019年比で8%の伸びを見せた。
カレッジスポーツ分野が18.6%と成長したのは、ルール改正がおもな要因だ。学生アスリートが、自身の名前やイメージ、画像などについて、商品やサービス、ビデオゲームを対象にライセンスを供与できるようになったのだ。
調査リポートではさらに、ライセンシングにおけるeコマース売上の重要度が、パンデミック中にますます高まったことが明らかになった(eコマース売上の重要度が上昇したことは、小売り全般にも言える)。
世界全体のライセンス売上にeコマースが占めた割合は、2019年には22%だったが、2021年には34%と、大きく上回った。
「一部のライセンシーが述べているように、新たなeコマース機能がきっかけで競争上優位に立てるようになり、それが新規ライセンス契約の獲得につながった」と、リポートには書かれている。
パンデミックはまた、売上が伸びる商品カテゴリーにも影響を与え、より広範な小売トレンドを反映している。売上が増加したのは、ゲームとソフトウェア(+34.9%)、スポーツ用品(+30.8%)、芝生/ガーデニング/道具類/ハードウェア(+19.6%)などだ。
これらのカテゴリーはみな、「パンデミック中にトレンドとなった"自宅での時間"の増加や料理、新鮮な空気が吸える屋外での活動、食料品の買いだめ、家族と過ごす時間といったものに関係している」と、リポートには書かれている。
なお、2021年における米国とカナダのライセンス売上は1862億8000万ドルで、全世界の売上の59%を占め、地域としては最大だった。