逆に2022年6月には、ストリーミングビデオの視聴シェアが初めて3分の1(33.7%)を超え、わずか1年前の27.4%から大きく上昇した。このペースでストリーミングの伸びが続けば、年内にケーブルテレビのシェアを突破することになる。一方でテレビ放送の視聴率は6月に22.4%となり、過去12カ月で最低を記録した。
コンテンツが増え、加入者が増えたことで、ストリーミングビデオの視聴時間は伸び続けている。ニールセンの報告によると、6月のストリーミングビデオの利用時間は前年比23.5%増を記録した。一方、6月のテレビ放送で数少ない明るい話題はスポーツ中継で、NBAファイナルとスタンレーカップファイナルがともにABCで放送され、44%の増加を記録した。
6月のGaugeレポートでは、ネットフリックス、アマゾンのPrime Video、Disney+、ユーチューブ(YouTube TVを含む)がいずれも過去最高の視聴者シェアを記録した。ネットフリックスは、最近苦戦しているものの、視聴者シェアは7.7%で、5月から1ポイント近く(6.8%)上昇した。6月のネットフリックスの視聴分数は、「ストレンジャー・シングス」の第4シーズンの人気によって5月から16.3%増加した。
Gauge レポートの開始以来、ネットフリックスは毎月最も視聴されたストリーミングビデオプロバイダーとなっており、同社のCEOのリード・ヘイスティングスは第2四半期の決算発表で、「リニアTVの時代は今後の5年から10年で間違いなく終わる」と述べていた。
スポーツ中継もストリーミングに移行
リニアテレビの視聴シェアを維持しているジャンルは、スポーツの一択だ。2021年に最も視聴されたテレビ番組100のうち、スポーツは95を占めていた。それでも、ストリーミングビデオでは主要なスポーツイベントのライブ中継が普及しつつあり、視聴者シェアを強化している。
アマゾンのPrime Videoは、9月からNFLのThursday Night Footballの独占配信を開始する予定で、NFLも7月に待望のNFL+を開始し、プレシーズンゲームとローカルおよび全国放送の全試合を月額4.99ドルでモバイル端末にストリーミング配信している。
Apple TV+も最近、メジャーリーグサッカー(MLS)と契約を結び、全試合をストリーミング配信する計画だ。また、PeacockとApple TV+は今シーズン、一部のMLBゲームのストリーミングを開始した。そのほか、ほぼすべてのプレミアスポーツのライブ中継が、リニアテレビとストリーミングの両方で視聴できるようになり、NFLコミッショナーのRoger Goodellは、「NFLのメディア権利はストリーミングに移行していくと思う」と述べた。
メディアのオーナーがケーブルよりもストリーミングに力を入れていることからも、ストリーミングの視聴者シェアの伸びが続くことは明らかだ。