若手ながら複数のエネルギー案件を獲得し「スマートエネルギーチーム」を新設。他の社員を巻き込みながら、リーダとしてコンサルティングを多数を行い組織を率いた。この頃の経験が、ブーストテクノロジーズが提供するプロダクトの素地になっているという。
契約を獲得するためには、UI(ユーザーインターフェース)の設計も欠かせない。全国各地の工場や事業所、小売現場などの全ての拠点、部門の担当者が利用するものだからだ。
「経営視点と現場視点のどちらも理解していないと、この手のソフトウェアの導入は上手くいきませんし、決して選んでもらえません。加えて、サプライチェーンにかかわる機密情報を取り扱うため、セキュリティの堅牢さは必須です。プロダクト自体の信頼性の高さも問われます」
経営層へ訴求できるコンサルティング力、プロダクトに反映できるほどの業界知識、現場で使いやすいプロダクトのUI(ユーザーインターフェース)設計と技術力。この三拍子が揃っていなければ、大手企業から選ばれる土俵にも上がれないというのだ。そのため、競合企業は増えてきているが、参入障壁は相当に高い。
ただ、青井が注視するのは外資系クライメートテック企業だ。例えばアメリカで1億100万ドルの資金調達を果たした脱炭素DXの米、パーセフォニは今年1月、日本に上陸を果たした。
「外資系企業の日本参入は脅威。しかし現状では日本独自の法規制などへのローカライズは国内企業の方が優位です。
一般的に外資ITベンチャーはパワフルな営業力で顧客を次々と獲得し、ある程度未完成のプロダクトでもフィードバックを得ながら製品の磨き上げを行っていきます。そのスピードを活かしていかに早くローカライズを進めるか、また私たちはいかに早くバリューチェーンのトップ企業との契約を獲得していけるか。その差が勝負の分け目です」
もちろん道のりは決して容易ではない。グループ会社を持つ法人を相手にした営業では、ESG担当者だけではなく、各事業会社の関連部門の同意や経営陣の合意を取り付ける必要がある。それだけ「意思決定プロセスが長い」難しさがあるという。
幼少期から、事業家に憧れ
小学生の頃から経営者になるのが夢だった青井。実家の書棚には、本田技研工業の創業者の本田宗一郎氏や松下電器産業(現・パナソニック)創業者の松下幸之助などの書籍があり、幼少期に自然と感化されたという。