ビジネス

2022.08.03 07:00

戦火のウクライナのスタートアップが直面した現実と希望


戦火の中で5000万ドルを調達した企業も


このような話は、他にも数多くある。例えば、リヴィウに本拠を置くスタートアップ「Relevant Software」は、ウクライナの東部と中部に住む従業員を他の安全な場所に移動させた。同社の創業者たちは、社員に経済的、精神的な支援を提供し、軍に寄付もした。さらには、同社のデザイナーの1人がウクライナ軍に入隊した際、その活動を支援するためにドローンとノートパソコンを提供したという。

しかし、VoypostやAwesomic、Relevant Softwareの状況とは異なり、ウクライナでは多くのIT人材が、ルーマニアやポーランドなどの友好国に逃れるしか選択肢がなかったのが現実だ。ウクライナでは、ロシアが侵攻する以前はIT産業が活況で、現在も戦前の約80%の規模で運営が継続されているという。しかし、戦闘がさらに激化した場合、企業が事業をいつまで継続できるかは不透明だ。

このような厳しい状況でも、リモートで業務を行えることは企業にとって大きな励みになる。社員の多くを今でもウクライナの西側に置く、オンライン語学学習プラットフォームの「Preply」は先日、5000万ドル(約68億円)の資金調達を実施した。

愛国心と苦難の中で強まった社員の結束力は、多くのウクライナ企業を支える原動力になっている。現地の起業家たちは、ノートパソコンとWi-Fiを武器に国の経済を維持しようとしている。

編集=上田裕資

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