キャリア・教育

2022.08.05 08:00

アートがあり、アーティストがいる街は、人に何をもたらすのか?

深井厚志(左)と杉山 央(右)


杉山:深井さんのつなげる力は素晴らしいと思います。アートは別の領域と混じり合わないから、深井さんみたいな人が真ん中にいると、交わるきっかけになるんでしょうね。
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深井:今の時代、それが大事だという気はしてます。ボンドやノット、ノードなど、つなぎ合わせる人。僕は杉山さんもそういう方だと思っています。アートとビジネスなど、組み合わせは何でもいいのですが、性質の異なるものをどちらも理解して、結び合わせていく。そういうところから新しい価値観や領域が生み出されていきますよね。

──お二人にはアート×街づくりという共通点がありますが、お互いにお互いをどのようにご覧になっていますか?

杉山:深井さんの「業界を俯瞰して物事を見る姿勢」は素晴らしいですよね。日本のアート業界の中には、自分の立場・業界の中で閉じ込もる人もいますが、深井さんはアート出身ながらその他の領域とも非常に積極的に交流をされている。本当に稀有な存在だと思います。
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深井:節操ないだけかもしれません(笑)。私は、杉山さんは“作り出す人”だと思っています。たまたま肩書きや所属がアーティストではなく、会社という組織に所属しているだけとうか。「アーティストをサポートする側に回る」という表現もされていますが、その推進力とビジョンを形に変えていく力、あるいはビジョンを描く力はアーティストのスキルそのものだなと。こういう方が時代を切り拓いていく。

それは、例えば絵筆を持ってキャンパスに向きあっていたアーティストが、その表現をビジネスに変えたら、ということに似ていて、社会・経済を変革するほどのポテンシャルを秘めているんだと思います。

──今のお話は、「ビジネスパーソンがアーティストの姿勢を宿さなければならない」という別冊のテーマに近いところですね。

杉山:空気を読まずに突っ走るというところでしょうか。「売れるものはマーケティングから導くことができるけれど、新しいものはマーケティングからは生まれない」と、よく言われますよね。新しいものは、個人の思いや情熱を貫くことで実現するものだと思っています。

正解がないままに突っ走る思い、絶対に成し遂げたい思いがあるか。僕自身が持っているかはわからないですが、アーティストと近くで仕事をしていると感じますね。

深井:私のクライアントでアート領域に携わっている方が、「いろいろなアーティストと話してきて思うのは、『どうしてもこれをやりたい』というのがあるのがアーティストだよね」とおっしゃっていたのですが、杉山さんの今の言葉ですごく腹落ちしました(笑)。
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文=堤美佳子 ポートレート=小田駿一 編集=鈴木奈央

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