突破口は考え方にありました。特に障がい者スポーツ業界は “ウォンツ(Wants)” がベースで、「知ってほしい」とか「知ってもらったら何か変わるんじゃないか」と思いがちなんですけど、やっぱりお客様側の “ニーズ(Needs)” や “ペイン(Pain)” を最優先すべきなんですよ。
例えば子供向けの授業を「スポ育」という名前にしました。ブラインドサッカー体験を全面に打ち出すのではなく、「スポ育」というダイバーシティ教育なんだという文脈にしたんです。そうしたら申し込みの状況や先生たちの認識も変わりました。
プログラム自体も見直して、ボールを蹴る時間をかなり減らしています。以前はとにかく試合を体験してもらうのが一番だと考えていたのですが、子供たちは目隠ししてプレーしたら怖いにきまってますよね。今では試合はせず、目隠しして色々な体験をすることをメインにしています。
このことに気がついて、最終的にブラインドサッカーのことを知ってもらえればいいと考え方を切り替えたことが、一番大きかったと思います。
>> 前編:ブラサカ協会が「無意識バイアス」測定ツールを開発した理由
松崎英吾◎特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会専務理事兼事務局長。1979年、千葉県生まれ。国際基督教大学卒。ダイヤモンド社等を経て、学生時代から関わってきたブラインドサッカーを通じて社会を変えたいと、2007年11月に日本視覚障害者サッカー協会(現・NPO法人日本ブラインドサッカー協会)事務局長就任。2018年10月より現職。