「絶対うまくいかない」 ブラサカ協会に学ぶ逆境を乗り越えるコツ


日本で障がい者スポーツのトップリーグはおそらく我々だけですので、資金調達の面でも差別化のポイントになっています。第2節は品川区との特別共催、第3節ではKPMGジャパンの節タイトルスポンサー、そして3節通じての参天製薬の支援が固まり、開幕前にある程度財源の目処が立ちました。

また、日本代表では「見られている」「応援いただいている」ことが選手の意識を変えたので、その効果をリーグでも期待しています。


──新たな取り組みとして、パートナーシップ協定を結んでいる品川区と連携して、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングも実施されました。評判はいかがでしたか?

正直、なかなか苦労しました。元々月額1〜3千円の個人寄付会員を受け付けているのですが、我々は事業型NPOですので税金の控除になりません。

そこでふるさと納税を新たな手段として提供できればと考えたのですが、十分に訴求できてはいません。まだまだ試行錯誤の段階です。

これまでコロナ禍にあっても、スポンサー企業から支援し続けていただいていることもあって、高い事業実施率、継続率を維持してきましたが、イベントや体験会など稼ぐ力を担保していた我々本来の事業モデルはまだ回復してはいません。

第7波の影響で男子代表チームのワールドグランプリへの海外派遣中止、またその他事業においても、先の見えない状況では大幅なコストカットや簡素化は避けられず、より厳しい局面を迎えています。

そのような中でも、競技統括団体として事業を維持していかなくてはなりませんので、様々な形で応援していただけるよう努めていきます。

──そうしたチャレンジを繰り返しながらのブラサカ協会の進化は、障がい者スポーツだけでなく、多くの皆さまの参考になると思います。どんなことにこだわってきましたか?

体験型ダイバーシティ教育プログラム「スポ育」
体験型ダイバーシティ教育プログラム「スポ育」

今でこそ子供たちの体験学習は引っ張りだこですが、“試行錯誤していた”2007年頃には学校の先生から「そんなことをしても子供たちに意味はないですよ」と言われていました。

2014年頃までは本当に芽が出ないというか、何かをやるごとに「絶対うまくいかない」と言われ、味方よりもアンチが多いという感覚すらありました。
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文=木崎伸也 画像提供=日本ブラインドサッカー協会 編集=宇藤智子

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