脳がよろこぶ運動マニュアル 5分でも「脳機能」はUPする

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健康のために「運動しなければ!」と考える人は多いと思うが、「人生をよりよく生きるためのツール」として捉えている人はどのくらいいるだろう?

実は、運動は心身の健康だけでなく、“脳の働き”を向上させるとも言われている。今回は、書籍『頭をよくしたければ体を鍛えなさい 脳がよろこぶ運動のすすめ』(中央公論新社)から、運動がどのように“脳機能” をアップさせ、さらには人生を望み通りに生きるための手助けをしてくれるのか、その4つのカラクリと「脳がよろこぶ運動マニュアル」について紹介する。

1. 人生がうまくいかないのは、脳の「実行機能」が存分に発揮されていないから


「もっと仕事を効率よくできたら」「もっと有効に時間を使えないものか」「もっとお金を稼げれば」など、我々は生きていく中で様々な問題に直面する。なかなか自分の思い通りにいかず、「こんなはずじゃなかった」と思うこともしばしば。自分が思い描くような素晴らしい人生を歩むためにはどうすればよいのか?

そのためには、脳機能の中で「実行機能」と言われる認知能力が関係している。実行機能とは、「~したい」という自身の願望や目的を達成するために重要な脳機能だ。

そして、この実行機能は運動をすることによって向上していくことが、昨今の目覚ましい脳科学の研究でわかってきている。


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“ 実行機能は、「困ったな……、こうするためには、どうしたらいいんだろう?」という状況を打開するために役立つ色々な脳の働きです。もう少しマジメに定義すると、「はっきりとした目的のある行動を計画・実行・コントロールする働きを持つ脳機能の総称」ということになります。

論理的思考・プランニング・問題解決などの複雑な認知能力の根幹にあると考えられている脳機能であり、脳のなかでも、おでこの裏に位置する前頭前皮質が特に重要な役割を担います。”(書籍から抜粋)

2. 運動するだけで、3つの異なる脳機能が自動でトレーニングされる


仕事の出来や収入、学業の成績やプライベートの充実度など、日々の生活や人生に深く関わっている実行機能。それは大きく分けて3つの脳機能から構成されているという。

1つ目は情報を記憶して、目的のために書き換えていく「ワーキングメモリー」で、2つ目は衝動的な行動や感情などをコントロールする「抑制」。3つ目は思考や行動をフレキシブルに切り替える「認知の柔軟性」で、これらは継続的に運動をすることによって自然とトレーニングされ、アップデートされていく。

実行機能がどんどん磨かれていくのだ。


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“ 実行機能の構成要素の働きの良さを測るのと同様の課題が、「脳トレ」として行われているのをよく見かけます。そのような脳トレを行うことで、実行機能に一般的な向上が起こるかどうかはさておき、それぞれの課題を繰り返し練習すれば、成績は徐々に向上していきます。

これに対して、継続的に運動すると、実行機能を構成するワーキングメモリー・抑制・認知の柔軟性を必要とする課題を実際に練習したわけではないのに、それぞれの課題の成績が向上することが知られています。つまり、運動すると、脳トレを練習していないのに、脳トレがうまくなってしまうということです。なんとも不思議なことではありますが、身体を動かすことで脳が変容することを表す好例です。”(書籍から抜粋)
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文=中沢 純(パラサポWEB)

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