競争社会のプレッシャーを解く 「パパ育休」で変わった人生観とは


税所:子どもが生まれる男性には、だまされたと思ってとにかく1年育休を取ってみてください、と僕は言いたい。1年取得しておいて、自分が常にいなくても育児は大丈夫だと思ったら期間を短くしてもいいと思いますし。

先月、息子ふたりを連れて車で地方を旅したんですが、忙しいキャリアを送ってきた先輩がしみじみ「自分は子どもとこういう時間の使い方をしてこなかったなあ」とつぶやいていて。僕の周りには、育休を取らずに後悔している人はいても、育休を取って後悔している人はいません。教育者である藤原和博さんが「人生、40歳で成人くらいがちょうどいい」とおっしゃっていて、本当にそうだなあと。40歳くらいまでは子どもと一緒に思いっきり遊んで、そこから仕事をがんばっても30年は働ける。そういう人生の尺度があってもいい。僕は今、そういう世界を生きています。


税所篤快さん◎1989年東京都足立区出身。早稲田大学教育学部卒。英ロンドン大学教育研究所(IOE)準修士。19歳でバングラデシュへ。同国初の映像教育である e-Educationを創業し、最貧村から国内最高峰ダッカ大学に10年連続で合格者を輩出。同モデルは米国・世界銀行のイノベーション・コンペティションで最優秀賞を受賞し、「五大陸のドラゴン桜」と銘打って14カ国で活動。未承認国家ソマリランドでは暗殺予告を受けながらも、教育と起業家を育成する「日本ソマリランド大学院」を米倉誠一郎氏と創設。本書執筆当時はリクルートマーケティングパートナーズ(現リクルート)に勤務。2021年夏からは長野県小布施町に移住、新たな事業に取り組んでいる。著書に『前へ!前へ!前へ!』(木楽舎)、『未来の学校のつくりかた』(教育開発研究所〉等。2016年にはアメリカの経済誌「Forbes」のアジアを牽引する若手リーダー「Forbes 30 under30 Asia」に選出。


成川献太さん◎1986年愛媛県松山市出身。愛媛大学大学院教育学研究科卒。中学校の教員を経て、マレーシアのクアラルンプール日本人学校で教員。その後、カンボジアのベンチャー企業へ転職。結婚を機に帰国し、現在は小学校の教員。3人目の子どものときに1年間の育休を取得。


中西信介さん◎1987年埼玉県本庄市出身。早稲田大学政治経済学部卒。国家公務員として農林水産省に入省後、4カ月で退職。1年間、豆腐の移動販売のアルバイトを経験し、再び国家公務員に。2014年「まちの保園・こども園」を運営するナチュラルスマイルジャパン入社。こどもを真ん中に、保護者や園、地域をつなぐコミュニティコーディネーターとして働きながら、保育士資格を取得。第1子の時に1年間の育休を取得し、復帰後は時短勤務で働きながら保育園・こども園の運営補佐を行う。ライフワークでは、地域と学びをかけ合わせたコミュニティBeYondLaboを共同運営している他、自治体のプレパパ/プレママ教室などの企画・運営を行っている。

文=徳 瑠里香

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