いま、長野県の「森」が注目される理由。秘密は「編集力」

森の価値を再発見・再編集する実践型スクール「INA VALLEY FOREST COLLEGE」。森林にかける想いから、参加者間では深い議論が繰り広げられた

日本が潤沢に保有する資源のひとつに「森林」がある。林野庁の『森林資源の現況』によれば、日本は、国土の約3分の2を森林が占める世界でも有数の森林国。さらに、その約4割を占める人工林は、面積が10年前の2.4倍に増加し、現在利用期を迎えているという。

これだけ豊富な資源である森林に、もっと目を向けてもいいのではないか。また、これまで以上に活用できる方法があるのではないか。そんな想いを抱き、筆者は7月8日からの三日間、森の価値を再発見・再編集する実践型スクール「INA VALLEY FOREST COLLEGE」に参加した。


再生と循環のビジネスを考える上で、現時点で保有している資源を見直すことは非常に重要だ

森への高い注目度


このスクールの舞台は、長野県の「伊那谷(いなだに)」地域。長野県伊那市を含めた市町村から構成される地域だ。中央アルプスと南アルプスに挟まれた盆地で、森林面積が8割を超えている。「ソーシャル・フォレストリー都市」 を宣言しており、他エリアに比べて森林資源の有効活用事例が豊富なことでも知られる。

「INA VALLEY FOREST COLLEGE」は、森のプランニング事業などを行う「やまとわ」が音頭を取り、伊那市と協働で2020年にスタート。伊那谷の森や地域をフィールドに、業界を超えた「森の学び舎」として、ワークショップ、レクチャー、トークセッションなどを行なっている。


「INA VALLEY FOREST COLLEGE」では、伊那谷の資源と地域外の人的資源を掛け合わせ、業界を越境した森のオープンイノベーションを目指す

初めてのオフライン開催となった今年は、3カ月を通して計6日間の合宿を開催。24人の定員に対して170人超の応募があり、その注目度の高さが伺える。

その背景には、編集者の経歴を持つ、やまとわ企画室長・奥田悠史氏の「編集力」がある。一般的に森林と“編集”は遠いもののようにも感じるが、これほどまでに人々を惹きつける「編集力」とはどのようなものなのだろうか。


やまとわ 森林ディレクターの奥田悠史氏 (撮影:林光)
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文=佐藤祥子

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