ネットフリックスの幹部は7月19日(米国時間)、第2四半期の決算を発表した。事前に業績低下が警告され、ハードルがかなり低く設定されていたことを考慮すると、その結果は素晴らしいものだった。そして、同社の株価はすぐに大きく上昇した。
だが、他の企業の株式は、第2四半期決算で同様の愛情を注がれないかもしれない。その理由を説明しよう。
ネットフリックスは、嫌われる側面も多い。ファンダメンタルズから見ると、株価は常に高い。2億2000万人の月額有料会員を抱える同社だが、同社幹部は現在でも、2023年には約10億ドルのフリーキャッシュフロー(純現金収支)しか生み出せないだろうと述べている。そして、この指標はここ数年ずっと悪化している。
問題は支出だ。
カリフォルニア州ロスガトスを本拠とするネットフリックスは、2007年にストリーミング配信モデルへと革新的な飛躍を遂げたが、同社の経営陣はそのずっと前から、惜しみなく投資を行ってビジネスのインフラを構築してきた。最初の大きな投資はソフトウェアで、特に圧縮アルゴリズムとレコメンデーション・エンジンだった。
そして、コンテンツ・ライブラリーを構築するためにも多額の資金が投入されてきた。ハリウッド・リポーターの報道によると、ネットフリックスは2023年だけで200億ドルをメディア・コンテンツ制作に費やす予定であり、同社はその結果、世界最大のスタジオになるはずだ。
ネットフリックスの歴史の大部分において、支出は同社の役に立ってきたが、2021年に逆風が吹き始めた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウンの影響から世界経済が脱却するにつれて、サブスクリプションの成長が鈍化していったのだ。
そのとき、最高経営責任者のテッド・サランドスは、投資家たちが同社に抱いていた将来への期待を打ち砕くことにした。それは、ネットフリックスに関する新しいストーリーを語り始めるチャンスであり、巨大なリセットだった。
第1四半期決算を受けて、サランドスは、ネットフリックスは第2四半期に加入者200万人を失う可能性があると警告した。彼はまた、広告表示を断固として排除した過去の判断を見直し、パスワード共有についても見直す計画を提示して、アナリストたちに衝撃を与えた。
そうして迎えた7月19日の夕方。投資家たちが最悪の事態を予想するなか、サランドスは、ネットフリックスが失った加入者は97万人にとどまったと発表した。また、2.98ドルと予測されていた1株当たり利益は、3.20ドルと好調だった、とも発表した。そして、ネットフリックスの株価は、時間外取引で7.5%上昇した。
ネットフリックスについては、好ましい点もたくさんある。特に、月額利用料を払うくらいならコマーシャルを見る、と考える顧客が多い新興市場においては、広告を導入することは、加入者の大幅増加につながるはずだ。
また、パスワードの共有を減らすことも、加入者増の一助となるはずだ。第2四半期決算に先立って、ネットフリックスがラテンアメリカのいくつかの市場でパスワード共有を厳しく制限しているとのニュースが流れた。