正しい行動を起こした科学雑誌を称賛しよう

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ホメオパシーは、以前も書いたように、医療に関するまったくあり得ない容易に反証可能な一連の信仰だ。私が意図的に「信仰」という言葉を使ったのは、ホメオパシーは医療の一種であるとも仮説であるとも主張していないからだ。それは200年前からの信仰の集合であり、遠い昔に誤りであることがわかっている。

ばかげていると思うかもしれないが、実はこうした商品を売ることは非常に利益の上がるビジネスなのである。たとえば、Boericke & Tafel(ボーリッケ・アンド・ターフェル)のOral Ivy Liquid(経口ツタ溶液、Amazonで1オンスのボトルが15ドルで売られている)は、ツタウルシとポイズンオークとウルシから作られたホメオパシー商品だ。説明には「ツタウルシ、ポイズンオーク、ウルシに関連する接触性皮膚炎の予防および一時的緩和」に有効と謳われている。何が入っているのか? ポイズンオークが非常に低い濃度で入っている(実際にはこの商品は本来のホメオパシー濃度までには希釈されていない。説明書には1滴に0.02gのポイズンオークが含まれていると書かれている。つまり、実際にアレルギー反応を起こす可能性がある。この代物には近づかないほうが良いといっておく)。

研究に戻ろう。論文によると、著者らはポイズンオークの検体を10のマイナス30乗まで希釈している。ホメオパシーの一般的手法だ。問題は、このレベルまで希釈すると、元の物質は分子1つさえも残っていないことだ。単純にいって、そのような希釈物に何らかの治療的有用性がある可能性は皆無だが、どういうわけか彼らは効果を発見した。

何人もの科学者が同論文誌に対して、この結果は極めて信じがたく、実験は結論を裏づけていないと苦情を申し立てた。すばらしいことに、同誌の編集者たちは不満を真摯に受け止め調査を開始した。撤回通知(こちらで読める)は、別の重要な問題も指摘した。いくつかの図が重複していたのだ。それぞれの図は異なる実験結果を示すべきなので、重複は大問題であり、この研究の根本的な信憑性のなさをいっそう明らかにした。

詐欺行為が発覚した際によくあるように、著者らは撤回に同意しなかった。

この研究に抗議する記事を書いたとき、私は「正しい行動はこの論文を撤回することだ、なぜなら結果は完全に無効なのだから。そうなることを楽しみにしている」と述べた。そして約9カ月後、実際にそうなった。

数年前、私はScientific ReportsPLoS ONEの編集長と(本稿で取り上げたのとは別の論文について)直接話す機会があり、そのとき彼らは不正な研究に対する真摯な懸念を示すとともに、撲滅にもっと力を入れる決意を表明した。科学論文誌が正しい行動をしたとき、私たちは称賛すべきだ。今回正しく行動したScientific Reportsに乾杯!

翻訳=高橋信夫

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