コロナ終息に希望? 「回復したヒトの抗体」が侵入経路を可視化

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今回研究者たちは初めて、わずか6日間でコロナウイルスが鼻から肺に侵入していく様子を生きたネズミの体内の映像でとらえた。

この研究はイェール大学のPriti Kumar、Pradeep Uchil、Walther Mothesとモントリオール大学のAndres Finziiによって行われ、Immunityで実験結果を公開した。

「今回初めて、生きた動物におけるSARS-CoV-2の広がりをリアルタイムで可視化することができた。また、感染の進行を止めるために抗体が効果を発揮する必要のある重要な部位も観察できた」とKumarは述べている。研究者らは、生物発光タグと高度な顕微鏡を使用し、SARS-CoV-2ウイルスの広がりを1つの細胞まで追跡した。ウイルスは、医師が多くの患者で観察したものと同じ経路で鼻腔から肺に侵入し、他の臓器にも影響を及ぼしていた。



回復したヒトの抗体を、感染したネズミの治療に


またこの研究結果は、回復したヒトの抗体が感染したネズミの治療に役立つことを示した。彼らはウイルスから回復したヒトの血漿を感染したネズミに注射したところ、ウイルスの蔓延を止めることができたのである。

同様に、健康なマウスに血漿を注射してからウイルスに接触させると、感染を完全に防ぐことができた。イェール大学微生物病原学部Mothes研究室の研究員であるUchil氏は次のように話す。

「ウイルス拡散のライブ映像を利用すれば、治療効果があるかどうかをわずか3~5日で見極められます。時間がかからない方法でもあるため、さしあたっての、そして将来のパンデミック対策に極めて重要です」

研究者たちは、抗体は主に2つの異なる役割を担っていると結論づけた。1つめは、ウイルスが細胞内に侵入することを防ぐこと、2つめは、ウイルスが侵入した際に免疫系に「感染細胞を攻撃せよ」との信号を送ること、である。

この研究結果は、新型コロナウイルスの感染拡大を効果的に阻止する研究を促進することが期待されている。



(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものである。)

編集=石井節子

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