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2022.07.31 10:00

400人の組織の目線を揃えるために実践する、最短手段とは|BABY JOB

BABYJOB 代表取締役社長、上野公嗣(提供:DIMENSION NOTE)


スタートアップコミュニティの重要性


──関西発のスタートアップとして成長されています。東京以外での起業についてどう思われますか?
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5年くらい前に関西で「VCから資金調達」をしているような会社はほぼありませんでした。

VCから見ても当然効率が悪いですし、スタートアップの数も少ない。ですので、周りのスタートアップはみなデット(借入)文化で、どうやって銀行から融資を引っ張るかばかり話していました。「株は魂と一緒やから渡すなんて経営者としてありえない!」と言われたこともあるほどです。

ただ、事業を急成長させるにはデットによる資金調達だけでは難しいのは当然のこと。少しずつ、関西のスタートアップでエクイティ(株式)ファイナンスの事例が出始め、関西の経営者のファイナンスリテラシーが変わってきました。今では関西の経営者も資金調達の話題で「時価総額」の話をするようになってきています。
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最近はVCも関西のスタートアップに興味を持ってくれるようになり、非常に好循環が回り始めているように思います。



──DIMENSIONも東京以外のスタートアップに積極的に投資しています。エコシステムが東京以外にも広がり始めているのですね。

やはりコミュニティ、というのは非常に大切なのだと思います。私は「秀吉会」と「EO Osaka」という大阪にある二つの経営者コミュニティに所属しているのですが、2つとも文化は違えど共通しているのは「一杯の水を持ち寄り、一杯の水を持ち帰る」という、みんなの知識や経験を出し合う文化があることです。

こういった文化を持つコミュニティの存在は非常に大事。先ほどの資金調達の話も、どんどんと議論レベルが上がっていくコミュニティメンバーのおかげで、自分のリテラシーの低さを痛感することができました。コミュニティのみんなで刺激し合い、成長していく。スタートアップエコシステムにはそういった機会がすごく重要だなと思っています。

──2021年7月にはDIMENSION含め5億円の資金調達に成功されました。

私は特殊な部類だと思うのですが、ファーストラウンドは大阪のハックベンチャーズさんにリードしていただいたうえで、いままでお世話になった経営者11人にエンジェル投資家として出資していただきました。1人300万円と決めて、自分と深い付き合いのある経営者にお願いしたのです。

そういった真に応援してくださる投資家を集めたことで、自分に足りない部分を今でも日々経営アドバイスいただくことができています。

一方で投資家集めをする際の後悔としては事前に「相性」を見極めなかったことです。事業を説明する際に、子育てが身近ではないおじさんばかりの会社に「おむつの名前を書くのが大変で……」という話をしてもまったく響きません(笑)。それを説明するだけで非常に時間がかかってしまい、事業を理解いただくまでに至らないことが多々ありました。

結果的に出資してくださった投資家は「あなたたちがこれを成功させないと日本の子育て駄目だ!」と、最初から理解があり、すごい熱量で来てくれるような方でした。そういう意味ではむやみに広く投資を募ろうとするのではなく、事前に過去の投資実績などを見て相性を見極めてから動いたほうが良かったと思っています。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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