キャリア・教育

2022.07.30 06:00

リーダーとしてのスキルを高める「R.E.A.L」作戦

安井克至

リーダーはすべての問題の解決ではなく戦略的な舵取りに自分の時間を費やすべきだ

リーダーの多くは、問題解決型だ。

彼らは火消しに慣れていて、物事を進めるためにすばやく解決策を見出すことができる。しかし、そのような熱意ある人々が、物事を成し遂げようとするあまり、他の人に任せられず、自分のリーダーシップを強化できる貴重な機会を、みすみす逃してしまう現象がよくみられる。

優れたリーダーは、チームメンバーの抱える問題を自分が解決できるからといって、手を出して解決する必要がないことや解決すべきではないことを理解している。リーダーとして、自分の時間は目の前に現れるすべての問題に注ぐのではなく、ハイレベルで戦略的な舵取りに費やすべきなのだ。しかし、問題に取り組めるのは自分だけだとしてしまうと、チームメンバーは何をするにもリーダーのあなたを待つようになってしまう。こうなると、不必要に物事が遅れたり、メンバーは自分が独立して物事を解決するのに十分な能力がないと感じたりするようになり、ビジネスの進展とプロとしての成長の両方が阻害されることになる。

これとは対照的に、サポートを提供しメンバーに自立心を与えるリーダーは、メンバーとのつながりやコミュニケーションを強化し、信頼を築き、意思決定や問題解決能力に自信を持てるようにする。

次に物事を解決しようと焦りを感じたときは、一旦立ち止まって、代わりにこの覚えやすい「R.E.A.L(リアル)作戦」を実践してみて欲しい。

R(Respect)


Rはリスペクト(敬意)だ。その役割のために雇用した専門家をリスペクトする必要がある。日々の業務に最も精通しているのは彼らなのだから、何か問題が発生しても対処できる能力もあるのは当然だ。そうした部下は、監督する主題に関する最高の専門家なのだ。だから彼らの知識と知恵を信頼していることを伝えよう。

E(Empathy)


Eはエンパシー(共感)だ。これは、相手といっしょに物事を感じ、相手のレンズを通して物事を見て、相手がなぜそのような感情を抱くのかを理解することだ。それは、比較的狭くて個人の経験によって完全に色づけされている可能性があり、自分の視点から物事を理解するシンパシー(同情)とは異なる。

たとえば、直属の部下が悩みを抱えていたり、行動を起こしたりすることに不安を感じているようなら、一歩下がって相手の立場になって考えてみるのだ。共感することで、サポートと励ましを示すことになり、自立の意識と自信が育まれる。

A(Active Collaboration)


Aはアクティブコラボレーション(アクティブな協働)だ。自分ひとりで決断し、問題を解決したい衝動に駆られるかもしれないが、その衝動を抑え、チームメンバーと協力して解決策を見出そう。たとえるなら、彼らの10歩先を歩くのではなく、その道を並んでいっしょに歩いて行くのだ。パートナーとして振る舞うことで、相手を支援する意思があることを示すと同時に、彼らが主体的に動く力を与えることができる。
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翻訳=酒匂寛

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