強い行動制限に踏み切らない理由のひとつには、夏場に急増する「熱中症」患者の存在がある。今回は「熱中症」に焦点をあて、最近はやりの保険についても触れておこう。
2022年夏も病床ひっ迫は必至
行動制限で気になるのは、やはり、マスクの着用に関してだろう。以前はマスクをしていない人への周囲の視線は相当厳しかったが、ここへ来て、「屋外で、特に運動時にはマスクをはずしましょう」といった呼びかけが最近やたらと目につく状況だ。
これは、「熱中症」予防の視点からのアドバイス。夏場はマスクの着用によって、そのリスクが高まることが懸念されているのだ。マスクをすることでコロナの感染者数を抑える効果と、熱中症を発症する可能性の高さを鑑みた結果、熱中症対策を優先する方針に舵を切ったことになる。
実は、熱中症による救急搬送は、思いのほか多く、6~9月の件数は毎年約4万人を超えている。特に、2019年は約9万5000人が搬送され、2009年の調査以来、過去最多を記録している。
人数のデータを聞いて「コロナに比べればそれほど多くはないのでは?」と思った人もいるかもしれない。だが、熱中症で救急搬送となると、症状が重く即入院のケースが大半だが、コロナの新規感染者はその多くが自宅療養やホテル療養でしのいでいる。病床使用数に直結しているとは言い切れず、単純比較はできない。
ただ、少なくともこの夏は、熱中症と新型コロナの患者だけでも病床不足が明らかで、他の傷病への対応も含め医療現場のひっ迫は避けられない状況だ。
熱中症による死亡者の約9割が高齢者
熱中症と聞くと、屋外での活動中に倒れるイメージがあるためか、外出しなければ大丈夫と考える人は少なくない。コロナ対策としても外出自粛が有効なため、家に居ることが万全な対策と考えるのは自然なことだ。
ところが、熱中症で救急搬送された人の内訳を見ると、住居での発症が1万8882人で全体の約4割(39.4%)で最も大きな割合を占めている。