経済・社会

2022.07.28 17:00

FRB、連続で0.75%幅の利上げ リセッション懸念拡大

ジェローム・パウエル米連邦準備理事会議長(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

米連邦準備制度理事会(FRB)は27日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、前回6月の会合に続き0.75%幅の利上げを決めた。高止まりしているインフレを抑え込むため、再度およそ30年ぶりの大幅利上げに踏み切った。FRBが金融引き締め姿勢を強めてきたことで、市場関係者の間では米経済のリセッション(景気後退)入りへの懸念が強まりつつある。

短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.5~1.75%から2.25〜2.50%に引き上げた。決定は全会一致。FOMCは声明文で、消費支出と経済活動は「軟化」しているものの、ここ数カ月雇用の伸びは「堅調」だと指摘した。一方で、インフレリスクは引き続き「きわめて注視」しているとも言及した。

FRBは3月に利上げを開始。当初は利上げの期間は数カ月になるとの考えを示唆していたが、物価上昇に歯止めがかからず、利上げ開始のタイミングが遅すぎたとの批判も浴びるなか、より積極的に利上げを進めるとの見方が強まっていた。債券市場では今月、1%幅の利上げを織り込む局面もあった。

ニューズレター「セブンズ・リポート」のアナリストであるトム・エッセイは、利上げは借り入れコストを高くし、それによって需要を抑えるので、インフレ対策で非常に重要だと説明。一方で、利上げによって経済成長が損なわれるのではないかという懸念が高まっており、これが最近の相場低迷の主因になっているとも指摘している。

エッセイは、28日に発表される4~6月期の米実質国内総生産(GDP)速報値は1〜3月期に続きマイナス成長に陥り、テクニカルリセッションになる公算が大きいと予想。景気循環の判定を行う全米経済研究所(NBER)がこのデータだけでリセッション入りを宣言することはないとみられるものの、年末までに米経済が実質的に収縮していることはあり得ると警鐘を鳴らしている。

投資助言会社デビアグループのナイジェル・グリーン最高経営責任者(CEO)はFRBについて、コロナ禍時代のインフレは一過性ものだと言い続けるという「大失態」を犯していたと批判。それを償うために1994年以降で最大の利上げという「過剰な対応」をしているが、それが今度は世界経済をリセッションに追いやろうとしていると難じた。

バンク・オブ・アメリカも今月、米経済は長引くインフレやそれにともなう利上げによって悪化しているとし、年内に「緩やかなリセッション」に入るとの見通しを示している。

編集=江戸伸禎

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