2016年、当時コンテントリーという会社で働いていたふたりは、サイドビジネスとしてブレティンを始めた。女性が創業し小売店舗をもたないEC(電子商取引)ブランド向けに、屋外の売り場を貸し出すのが目的だった。
ニューヨークを拠点に活動するふたりは以降、ブレティンの業態を、ブルックリンのポップアップ型店舗から、5店舗を構える小売りチェーン、消費者向けECへと次々に転換させてきた。
ブレティンは最終的に、小売店向けにセレクトアイテムを販売する卸売りウェブサイトに姿を変え、年間数百万ドル以上の売り上げをほこるまでになった。そして今月、見本市運営大手のエメラルドに買収された。
ブレティンのサイトでは、キノコを使ったプロテインバーを製造するバランスト・タイガーから、子ども向け書籍出版社のスリーピング・ベアー・プレスまで、およそ3000ブランドの商品を販売し、利用する小売店は2万6000にのぼる。この事業がエメラルドを引き寄せることになった。買収条件は未公表だが、エメラルド側はブレティンの従業員30人全員を雇用するという。
「ブランドや小売店から『ブレティンはいつ見本市を開くの?』とよく聞かれていたんです」と、2018年に小売・EC分野でフォーブスの「30 UNDER 30」に選ばれたこともある最高執行責任者(COO)のクリーグスマンは明かす。
「そうした声を聞き、また自分たちの強みもわかってくるなかで、(見本市には)不思議な力があるらしいと感じ始めていたところでした」
今回の買収が特筆されるのは、テクノロジー業界で女性の創業者チームはユニコーン(評価額10億ドル以上の未公開企業)以上に珍しい存在だからだ。ブランストンとクリーグスマンは過去にベンチャーキャピタル(VC)から900万ドル(約12億円)あまりを調達した実績もあり、クリーグスマンは初の著書『How To Build A Goddamn Empire』でベストセラー作家にもなった。
変化を恐れず攻めの経営を続けてきたことが、ふたりの今の成功につながったと言えそうだ。