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2022.08.01

レッテルは「世間の雑音」 LGBTechの波に乗る|JobRainbow 星賢人

「JobRainbow」代表取締役CEOの星賢人


──今後の展望は。

JobRainbowでは、2021年に新ビジョン「差異を彩(さい)へ。自分らしくを誇らしく。」を掲げました。

LGBTQに限らず、人は他人と違う部分を持っています。私はそうした差異があること自体に価値があると思っているので、差異を「彩=いろどり」と捉えて、自分らしさを誇れるような社会になってほしい、という思いを込めました。

これまではLGBTQ向けに事業展開をしてきましたが、これからはジェンダーギャップや多文化共生、障がい、育児・介護にまで広げたサービスを展開していきます。



また、LGBTQに関して言えば「社会関係資本の格差」も大きなテーマです。LGBTQであるがゆえに学校でいじめにあい、進学できずに中卒や高卒になる人がたくさんいます。そういう人がローキャリアからスタートして、社会の中で這い上がっていくのは非常に難しい。

でも、そういう人たちが少しずつでも上がっていける社会になれば、労働市場の資本量は増えます。そういう垂直的な人の流動性を担保する求人業界の構造づくりにも挑戦していきたいです。

それを実現するには、企業の方々の協力が不可欠です。企業の受け入れ体制が整わなければ、せっかく入社できても辞めてしまいます。だからやっぱり企業を変えなければいけない。ということで今、企業による多様性の受容を推進するようなサービスの開発に取り組んでいます。



──最後に、次世代の起業家にメッセージをお願いします。

自分が起業したてのころは、周りから「社会起業家」と言われたことにこだわってしまって、それを全面に出してメディアに出ていました。その結果、従業員の採用をしようと思った際に、事業が”福祉的”に見えすぎてしまったせいか、熱い想いはあるけれど、ビジネス的経験値が少ない人からの応募が多くなってしまいました。

それもありがたかったのですが、自分がやりたいことを成すためには、圧倒的にスキルを持つ人材のほうが必須でした。また、クライアントや銀行、投資家などからも、社会的側面ばかりをみられ、ビジネス的なポテンシャルの部分で正しい評価を貰えないということも多々ありました。

その時、周りが貼ったレッテルに縛られてはいけないのだなと痛感しました。

一番大事なことは、自分がどういう志をもち、何を成し遂げたいのかということです。世間の雑音にとらわれずに、そこに集中してほしいですね。

文=久野照美 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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