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2022.08.01

レッテルは「世間の雑音」 LGBTechの波に乗る|JobRainbow 星賢人

「JobRainbow」代表取締役CEOの星賢人


──下の世代から刺激を受けることはありますか。

ありますね。私は今28歳なのですが、5歳以上若い世代になるとLGBTQの捉え方が全然違うと感じます。当然のように中学・高校時代に自分のセクシュアリティをカミングアウトして、周りもそれを何とも思わずに自然に受け入れているという話も聞きます。

こうした新しい価値観を持つ方々がつくったプロダクトを見ると、性別の括りがなかったりします。特段、社会に対する課題意識を持っているわけではなく、「男女」という概念はもう古いという土台ができている。ボーダレスな社会が到来するのだなという感じがします。

とはいえ、当事者でカミングアウトできている人はまだまだ少数派。多くの人は隠しながら生きる選択をしています。「同性婚が認められない」など、取り残された課題もたくさんあります。

そうした課題を解決していくにあたって「当然のことが認められていないのに反発しないのは変だよね」「ダサいよね」みたいな雰囲気を、若い世代が持っているのはいいことだと思います。



常に「理想」から逆算して考える


──ご自身が「理想」に近づくために、大事にしていることはありますか。

理想を起点にして考えることを大事にしています。起業家が最初の一歩を踏み出す時って、リソースがないんです。人もいないし時間もないしお金もない。何もない。そうなるとどうしても縮こまってしまって、自分のできる範囲からやろうと足元から考えてしまいます。

理想の実現に向けて毎日1%ずつ積み上げることももちろん大事ですけど、それでは20年かかるかもしれません。でも自分は5年で実現したい。だとしたら戦略はまったく変わってきます。だから常に理想から逆算して考える。これはとても重要です。

もうひとつ、起業家や経営者はドメインマスターでなければいけないと思っています。ドメインに対して自分が圧倒的に世界で一番当事者意識や専門性を持っていると言えなければいけません。

ただ、そこで陥りやすいのが近視眼的になってしまうこと。そういう時に外部からメンターに入ってもらい年単位で事業を見ていくと、見える景色が変わります。アドバイスをもらうのはすごく辛いことですが、ちゃんと長期的な目線に自分を戻してくれます。そういう外部の人脈を持つことはとても大切です。
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文=久野照美 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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