報告書によると、昨年の世界の宇宙産業経済は前年比9%増となり、2014年以来最も大きな成長率を記録したという。
昨年は過去最多の民間人が宇宙に向かったため、商業宇宙ベンチャーが支出の77%を占めた。
内訳をみると、宇宙企業が提供する製品とサービスから2240億ドル(約30兆円)超が生み出され、商業宇宙企業のインフラとサポートに1380億ドル(約19兆円)近くが費やされた。
政府支出は前年比で19%増加し、昨年の宇宙経済に1070億ドル(約15億円)貢献した。米国の支出額は政府と軍事費を合わせると596億ドル(約8兆円)で、世界の宇宙支出に占める割合は12%だった。
世界各国は、ウクライナで使用されているような極超音速ミサイルから身を守る新しい防衛システムや、月や火星への有人宇宙ミッションの準備など、軍事と民間両方の宇宙支出に投資している。
今年、経済が減速しているにもかかわらず、宇宙関連の支出は今後も増加し続け、2026年までに6340億ドル(約86兆円)超に成長すると宇宙財団は予測している。
報告書によると、2022年上半期に打ち上げられた宇宙船は1022機で、その大部分の958機は商業部門のものだった。
宇宙財団は、宇宙産業を支援する非営利団体だ。かつてはほぼ政府機関のみによって構成されていたが、現在ではほとんどの宇宙飛行が企業によって行われている。SpaceX(スペースX)のイーロン・マスク、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)のリチャード・ブランソン、Blue Origin(ブルーオリジン)のジェフ・ベゾスといった巨万の富を持つ人々が、「億万長者宇宙レース」と呼ばれる宇宙旅行の新しい波を引き起こし、スペースXやBoeing(ボーイング)などの企業は米航空宇宙局(NASA)のためにクルーや貨物を運ぼうと競い合っている。