2023年の成長率予測も4月時点の3.6%から2.9%に引き下げた。下方修正した理由としては世界の3大経済圏である米国、中国、ユーロ圏の景気減速を挙げ、見通しに対するリスクは「圧倒的に下方に傾いている」とも言及した。
米国の経済成長率は2022年は2.3%、2023年は1%と予測し、前回見通し(それぞれ3.7%、2.3%)から大幅に引き下げた。中国についても2022年は3.3%と前回から1%超下方修正した。この通りなら中国の成長率は過去40年で最低に落ち込むことになる。
世界経済は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)から回復しようするなかで、世界規模、なかでも米国と欧州での予想以上のインフレ、新型コロナ対策のロックダウンによる中国景気の予想以上の悪化、ウクライナでの戦争による「さらなる負の波及効果」といったいくつかの「ショック」に見舞われているとした。
IMFはインフレについて、食品価格やエネルギー価格の高騰などを受けて2022年も続いており、依然として「大きな問題」になっていると指摘。世界の政策立案者はインフレ抑制に最優先に取り組む必要があるとの認識を示した。今年の物価上昇率は先進国で6.6%、発展途上国で9.5%に達すると予測した。2024年末までにはパンデミック前に近い水準に戻る見通しだという。
IMFのチーフエコノミスト、ピエールオリビエ・グランシャは声明で「見通しは4月以降、大きく暗転した」と説明。世界経済は「前回のリセッション(景気後退)からわずか2年で再びその瀬戸際に立たされている」と警告した。
世界銀行も6月、世界経済の2022年の成長率予測を2.9%と、前回見通しの4.1%から下方修正している。