日本人は国産を積極的に選ぶ傾向があり、2020年に日本政策金融公庫が全国の20〜70歳代の男女2000人を対象に行った調査では、74%が国産にこだわっていると回答している。
それだけ多くの国民に信頼されている国産食品だが、実は20年ほど前から産地偽装が深刻な問題となっている。
今回は、原産国表示の裏に隠された闇を暴いていこう。
熊本県産アサリの97%に外国産?
農林水産省が2021年10月から12月末まで行った調査では、「熊本県産」として販売されたアサリのDNAを調べたところ、31点のうち30点、実に97%に「外国産が混入している可能性が高い」との判定が下された。
2020年の熊本県産アサリの年間漁獲量は21tしかないにもかかわらず、農水省がサンプル調査を行ったわずか3カ月の間に、「熊本県産」として販売されているアサリが推定2485tもあったとされている。
アサリは中国から輸入して日本の沿岸にまき、しばらく待つことで「国産」を名乗っているのだ。
「国産ウナギ」の多くは中国生まれ
中国生まれなのに国産扱いになるのは矛盾しているように感じるが、ウナギでも当たり前のように同じようなことが行われている。
日本国内の池で養殖されたウナギは「国産ウナギ」を名乗れるが、実はその稚魚の多くは外国から輸入されたもので、2019年は75%が輸入稚魚だったそう。
日本の生態系を守るために国産の食品を購入したとしても、実際は外国の生き物を日本で育てているだけかもない。
横行する国産偽装
2001年に雪印が輸入牛肉を「国産」と偽装した牛肉偽装事件からこの20年間、あらゆる分野で「外国産を国産と偽る」手口が見つかっており、一向に後を絶たない。
2022年2月15日には、外国産ワカメを「鳴門産」と偽って販売していた静岡の食品加工卸業者が逮捕された。
中国から輸入したワカメを湯通し塩蔵わかめに加工して「鳴門産」と書かれたシールをパッケージに貼り、県内外の400店舗以上のスーパーなどで販売していたのだ。