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2022.07.29 06:00

急成長のBtoB決済のフィンテック「Balance」、評価額500億円に

Getty Images

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テルアビブに拠点を置く創業2年のフィンテック企業「Balance」が、5600万ドルの資金調達を実施し、評価額は1年前の約3倍の3億5600万ドル(約490億円)に達した。同社は、企業間の決済向けのソフトウェアを提供している。

今回の調達ラウンドはForerunner Venturesが主導し、Salesforce Ventures、Hubspot Ventures、Lyra Ventures、Gramercy Venturesらが参加した。Forerunnerの創業者のクリステン・グリーンはBalanceの取締役に就任する。

フィンテック分野では、株価が急落し、評価額を引き下げる企業が続出する中で、Balanceの動きはそれに逆行するものと言える。かつてスクエア(Square)として知られていた決済処理会社Blockの株価は、年初来で58%下落している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、ストライプは最近、社内の評価額を28%引き下げたという。

企業間決済市場では年間120兆ドルの取引が行われているが、デジタルで実行されるのはそのごく一部に過ぎず、主な決済方法は、紙の小切手やACHと呼ばれる小口決済システム、電信送金となっている。

Balanceは、これらの伝統的な方法をサポートする一方で、「着払い」や「マイルストーン払い」などの新たな取引形態を可能にする。同社は、500万ドルまでの取引であれば、即座に加盟店に支払いを行う。Balanceは、取引から徴収する手数料を収益源としている。

同社の顧客は規模も業種も様々で、飲食店向けのマーケットプレイス「Choco」やアパレル向けのプラットフォームの「Zilingo」などにも利用されている。また、ShopifyやMagentoとの連携により、ウェブサイトを持たない顧客もオンラインショップを立ち上げ、迅速な取引処理を行える。

「今後の2年間で、オンラインのプレゼンスを持たない企業は市場から淘汰される」と、Balanceの共同創業者でCEOのバー・ジェロン(33)は語った。

ジェロンと共同設立者のヨニ・シャスターは、ペイパルで働いていたときに出会った。Balanceは、初期の投資家であったストライプのような決済企業の革新的な技術に触発されて誕生した企業だ。同社は、今回の調達資金で、北米でのプレゼンスを拡大し、新たな地域へ進出を視野に入れている。

「企業間商取引市場の規模は、消費者向け市場の5倍で、2倍の速さで成長すると予想されている」と、同社の出資元のForerunner Venturesのグリーンは語った。

編集=上田裕資

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