市場調査会社Strategy Analyticsのニール・モーストンは、紫光集団がフォックスコンに自社のモバイルチップセットやメモリ関連の専門知識を与える可能性があると述べている。バッテリー駆動のEVには、半導体チップが必須であり、メモリモジュールは車載アプリを動かすのに役立つ。
紫光集団は、1500億元近い巨額負債を抱えて経営破綻した後に再建されたが、モーストンによるとまだ支援が必要だという。一方、フォックスコンはアップルのiPhoneの製造受託以外の新たな収益源を模索している。
「フォックスコンは、スマートフォンやEV向けの半導体の供給が逼迫する中で、この分野への参入に大きなチャンスを見出している」と、モーストンは述べている。
ビリオネアのテリー・ゴウが創業したフォックスコンは、競争の激しいEV市場での地位を高めるため、4月に部品メーカー2社を買収した。また、昨年は米国のEVのスタートアップの「フィスカー」や、世界的自動車製造大手の「ステランティス」と、EV製造と自動車用チップの共同開発についての契約を締結した。
さらに、マレーシアにも半導体工場を開設する計画で、サウジアラビアではEVのパーツを製造する工場の建設を検討中だ。
しかし、紫光集団への投資は共同開発のパートナーシップではなく、純粋に金銭的なリターンを狙うものになるかもしれないと、台北の調査企業カウンターポイントのアナリストのBrady Wangは述べている。「このスキームにもメリットはあるが、製造キャパシティの増加にはつながらない」と彼は指摘した。
さらに、フォックスコンは台湾経済部投資委員会からの承認を得る必要があるが、この委員会は中国政府とつながりのある企業が関与する取引に難色を示す傾向がある。紫光集団は、1988年に中国のエリートが通う北京の清華大学のビジネスユニットの清華ホールディングスが設立した会社だ。
「出資が実現するかどうかは、台湾政府の判断次第だ」とWangは述べた。