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2022.07.28 14:30

DX改革進むBリーグ チェアマンら語る「バスケ x Web3」の可能性

露原直人

スポーツ振興くじ導入へ


ソフトバンクや楽天、KDDI、ミクシィなど民間企業30社以上が参画する「スポーツエコシステム推進協議会」では、NFTなどの他「スポーツベッティング(試合結果などへの賭け)」もスポーツDXの一つとして提示している。日本スポーツ振興センター(JSC)とBリーグは2022−23シーズンから、試合が開催される日に1マッチのみ勝敗を予想する「スポーツ振興くじ」の導入を予定。

これについて島田氏は「日本でのベッティングは難しく、規制対象となっている意味について考える必要はあるでしょう。スポーツ振興くじの導入を通じて、健全なスポーツ振興資金に繋がるよう取り組んでいきたい」と語った。

佐野氏は次のように話す。

「先に挙げた『ファンタシー・ワンオンワン』では、Amazonギフト券300万円分を入手できる企画だったのですが、この商品券そのものがバスケファンの間で話題になったという事実はありませんでした。つまりギャンブル好きよりもスポーツ好きのファンベースのコミュニケーションが促進されたと考えています。今年からBリーグもスポーツくじの対象になっていますが、あくまでファン同士のコミュニケーション手段にはなると予測しています。

また、従来のtoto BIGのようなものは、当たるか当たらないか、ガラガラポンの世界なので、ファン同士のコミュニケーションが発生しにくいと考えています。スポーツくじでも(今回想定しているような)単一試合が対象になれば、『この試合はどういう展開になるか』のようにコミュニケーションが発生すると期待しています」

さらに、Bリーグのパートナー企業であるソフトバンクでは、球団の本拠地PayPayドームをメタバース化するプロジェクトを進めている。その技術を駆使し、Bリーグとしてもいち早くメタバースを取り組む方針があるのかについても訊ねた。

「まずはメタバース空間でしかできない体験を、スポーツでどう作るかがテーマだと思っています。ソフトバンクさんの(メタバース)バーチャルPayPayドームで、ピッチャーが投げたボールをファンが自身で選んださまざまな角度から眺めることができるような世界観をバスケでどう提供するかが大事だと考えています。」

さらに最後に島田氏はこう付け加えた。

「NFTも始めましたし、(デジタル・ソリューションについては)冷静な目を持ちながらも取り入れて行きます。まだまだBリーグでは何かを成し遂げられているわけではありません。競技面でも事業面でも模索中です。まずは日本バスケ界の底上げ。すべての施策はその上に成り立ちます」

ビジネス面での慢心がない点を強調。しかしその固い決意に、Bリーグにおける今後のデジタル領域の成長にも期待せざるを得ない。そう感じさせてくれた。

文=松永裕司 編集=露原直人

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